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第0407話

雅彦はスマホの画面を綿に見せた。

綿は内心で「もう最悪…」と思わずぼやいた。

これ、いったい誰よ…?

「ボス、誰が柏花草をM国に持ち込んだと思う?」雅彦は突然ある点に気付いた。

南城からM国へ持ち込まれたとなると、他に考えられるのは一人しかいないのではないだろうか。

二人は視線を交わし、綿は突然口を開いた。「輝明?」

雅彦は手を打ち鳴らした。「そうだ!輝明以外に誰がいる?」

「でも、当時柏花草は失くなったんじゃなかった?ルイスも手に入れられなかったし、もしかして誰か他の人が手に入れて、それを売りに出してるとか?」綿は考え込んだ。

雅彦は首を振った。「いや、それはない。この人は価格について問題にしていないと言ってたから」

「じゃあ、輝明しかいないわね」綿はシートベルトを外し、下車して輝明と会うつもりだった。

彼が何を考えているのか見てみる必要がある。

本当に柏花草を渡したいなら、こんな手間をかけずにさっさと渡せばいいのに、わざわざ呼び出すなんて。

もしかして彼は、感謝の言葉を期待しているのか?

この偽善者め!彼はまだ彼女が彼を喜ばせるために十分に媚びていないとでも思っているのか?

綿は怒りを抱えてカフェに入った。

綾乃は綿が入ってくるのを見て、すぐに立ち上がり、「ボス」と礼儀正しく言った。

「帰っていいわ」綿は怒りを帯びた声でそう言った。

綾乃はこの場の気まずさを感じて、相手が相当運が悪いと思った。ボスが怒ると、後の結果はかなり深刻だ。

「分かりました!」綾乃はすぐにその場を去った。

綿はテーブルを叩き、辺りを見渡して、輝明がどこにいるのか探した。

その時、ウェイターが近づいてきて言った。「綿様、上の階でお待ちしている方がいます」

綿は階段の方を見て、心の中で悪態をついた。

クソ、なんて面倒なことを。

ただの柏花草じゃないか!

綿は怒りを込めて階段を上がり、ウェイターの指示に従って個室のドアを勢いよく開けた。全く礼儀などなかった。

中にいる人物を見た瞬間、綿は罵声を飲み込み、言葉を失った。

個室にいた男性は驚いた表情で目を見開いていた。綿があまりにも怒っているように見え、まるで全身から炎を放っているようだったからだ。

「あなたは……綿さんですか?」男性は慎重に尋ねた。

綿は目の前の男性を上下にじっと見つめた。

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