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第0341話

綿の体が一瞬停止し、その直後、彼女は宙へと落ち始めた!

「綿!」輝明は叫び、すぐに手を伸ばしてロープを掴んだ。

綿の体は瞬時に空中で止まり、輝明の体はロープに引きずられ、足場の端に引き寄せられた。

綿は息を荒げながら、輝明を見つめた。その目は恐怖に満ちていた。

「怖がるな」輝明は優しく彼女を慰めようとした。

彼の手が必死にロープを握りしめ、彼女を少しずつ引き上げていた。

綿の心はまるで何かに締め付けられるように痛んだ。

どうして……彼は今もこうして自分を助けようとするのだろう。

綿は少しずつ引き上げられていったが、その時、男が輝明の背中を足で強く踏みつけた。

その瞬間、輝明の手が一瞬緩み、綿は再び落下し、輝明もロープに引っ張られて前に倒れ込んだ。

下からサイレンの音が響き、赤と青のライトが空中を照らしていた。

輝明は再び力を振り絞り、男の重みを無視して綿を引き上げようとした。その手には深い傷ができ、シャツは擦れて破れていた。

彼の腕は足場の縁で何度も擦り切れ、血が流れ落ちていた。

血の一滴が綿の肩に落ちた。

綿は唇を噛み締め、心の中で思った。これは彼が彼女に対して負っている罪だと。

「彼は私に命の借りがある。もし今日、私を助けることができたなら、私たちはこれで精算だ」と。

「動くな!」背後から警察の声が響いた。

男は振り返り、すぐにしゃがみ込んで輝明の首にナイフを押し付けた。「近づくな!」

「高杉社長!」森下が群衆の中から駆け寄り、輝明の姿を見た瞬間、複雑な表情を浮かべた。

「言っておくが、これ以上近づくな!」男は狂気に駆られ、ナイフを輝明の腕に押し付け、一筋の血が流れた。

輝明は痛みで息を呑んだが、さらに強くロープを握り締め、綿を引き上げ続けた。

その力のせいで、彼の腕からは血がどんどん流れ出ていた。

「もう一歩でも近づいてみろ!」男はさらに狂ったように叫び、ナイフを再び輝明の腕に突き立てようとした。

「動くな!我々は動かないから!」警察の隊長が叫び返した。

「出て行け!全員出て行け!さもないと、二人まとめて殺してやる!」男は脅し続けた。

綿は輝明を見つめ、彼の額には血管が浮き上がっていた。すでに限界まで力を使っているのが見て取れた。

この瞬間、綿は初めて気づいた。輝明にとって、彼女も重要な存在であることを。

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