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第0238話

「厄払いしてるのよ!」盛晴は綿に向かって言った。「家中をきれいに掃除したら、これからはいいことばかりが起こるわよ」

輝明と嬌の記者会見のことを盛晴が知っているのだと感じた。

彼女は桜井家に迷惑をかけてしまったことに少し申し訳なさを感じた。

輝明の今回の行動は、桜井家を全く考慮していないあまりにひどいものだった。

綿は盛晴を見上げ、彼女が掃除をしながら「なんでこんなに汚れが取れないのよ!」と独り言を言っているのを聞いた。

綿はその言葉に別の意味を感じ取り、冗談を言いながら笑った。「大掃除なんて、おじいちゃんがまたお坊さんにでも頼んだんじゃないの?」

盛晴は手を振りながら、「違うわよ!さあ、早く手を洗って、夕食にしましょう。今日は叔父さんも帰ってきてるわよ」と言った。

綿は驚いて、「叔父さんが帰ってきたの?」と目を輝かせた。

家に入ると、叔父が父親と一緒に将棋を指しているのを見つけた。

兄弟は楽しげに会話し、和やかな雰囲気が漂っていた。

「叔父さん!」綿は声をかけた。

「おお、綿ちゃん!こっちに来い!」天揚は綿を見て、笑顔を浮かべた。

「叔父さん、私が入院していた時、どうして会いに来てくれなかったの?文句言っちゃうよ、ふん!」綿はそう言いつつ、叔父の隣に座った。

天河は微笑んで、この子は本当に叔父さんと仲がいいんだなと思った。

叔父が来ると、父親のことなんてすっかり忘れてしまうんだから。まったく、育てた甲斐がないな!

「退院したって聞いて、すぐに焼き羊を持ってきたんだよ!」天揚は綿の頭を軽く叩いた。

「今夜は焼き羊?」綿は目を輝かせた。

「そうだよ、あとは君を待つだけだ。すぐに食べよう!」天揚は笑った。

「叔父さん、今回は頼りにしてるわね」綿は笑いながら答えた。

「いつだって頼りになるよ」天揚はそう言いながら、将棋に集中していた。

綿は手を洗って戻ってくると、リンゴを手にして座り、話を続けた。「玲奈が言ってたんだけど、もうすぐ横滨でエンタメ業界のパーティーが開かれるんだって。叔父さんも行くの?」

「そうだよ、君も来るかい?」天揚は将棋を指しながら答えた。

「面白いの?」綿はリンゴをかじりながら尋ねた。

「もちろん、イケメンがたくさんいるよ」天揚は目を細め、ニヤリと笑った。

綿は首を振って「興味ないわ」と言った。

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