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第0172話

彼は綿に近づき、シートベルトを締めようとした。

しかし、その瞬間、綿が彼のネクタイを引っ張った。

輝明は一瞬止まり、綿の奇妙な顔が彼の視界に飛び込んできた。

美しいか?彼女はパンダのような目のクマができている。

醜いか?彼女の赤みがかった杏の目はあまりにも哀れで見ていられない。

輝明は唇を引き締め、彼女が曖昧に尋ねるのを聞いた。「本当に、私に惹かれないの?」

——本当に、私に惹かれないの?

輝明の目は彼女の眉から唇へとゆっくりと移動し、彼女の最近の服装は大胆で、布地が少ない。彼女の体は一目瞭然だった。

輝明の喉が動き、無意識に彼女の唇に近づいた。

時間がゆっくりと止まっていくように感じた。彼が彼女にキスしようとした瞬間、頭の中に突然嬌の顔がよぎった。

輝明は急に動きを止め、顔をそむけた。

綿のキスは彼の首に落ち、柔らかく冷たく、抵抗しがたい誘惑を帯びていた。

輝明の心はまるでショックを受けたように、何かに強く揺さぶられた。

彼は視線を上げ、綿の目と目が合った。声はかすれていた。「綿、俺は輝明だ。」

綿はその名前を聞いて、少しだけ意識が戻った。

彼女は目をこすり、やっと目の前の男の顔をはっきりと見た。

これはホストではなく、まさに輝明ではないか? 綿は言葉を失い、唾を飲み込んだ。まだ彼のネクタイを握っている指で、二人は曖昧な姿勢を保っていた。

綿の呼吸が妙に重くなり、輝明の唇を見つめると、思わずキスしたくなる衝動に駆られた。

彼が輝明だからこそ、彼にキスしたくてたまらなかった。そして、彼に尋ねたかったのだ。自分は愛されるに値しないのか、と。

輝明がシートベルトを締めてくれると、彼女は不意に輝明を見つめた。

綿は唇をかみしめ、次の瞬間、大胆にも彼に近づき、キスしようとした。

二人の距離はわずか二センチ。もう少し近づけば、唇が触れる。

輝明は動かず、彼女の唇を見つめた。喉が乾燥し、体中の血液が逆流するように感じた。 彼女は自分がどれほど輝明を誘惑しているのか、全く気づいていなかった。

「綿、君が俺を誘惑してるんだぞ」と、彼の声はもうかすれていた。

綿はただ知りたかった。自分に対して、彼が少しでも感情を持っているのかどうか……。

その瞬間、輝明は彼女の唇に直接キスし、掌で彼女の腰を抱き寄せた。彼のキスは激しく、彼女の歯を
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