第0168話

「もう離婚すると決めて、手放す決心をしたのに、どうしてまだ心が痛むの？」綿は眉をひそめ、玲奈に疑問を解いてもらおうとした。

輝明が嬌を抱いて、彼に甘える姿を見たとき、電流が全身を駆け巡るようなその感覚、玲奈は理解できるだろうか？

「綿ちゃん、ただ時間が必要なだけよ」玲奈は綿を慰めた。

輝明のためにすべてを捨ててもいいほど愛していたのだから、一瞬で完全に忘れることはできない。

「でも玲奈ちゃん……」綿の涙は止まらず、彼女は悲しげに言った。「彼は一度も私を選んだことがないの」

「嬌と一緒に転んだとき、彼が守ったのは嬌だった。彼は私を家に送ると言ったのに、嬌に会った瞬間、私を放り出した。嬌が傷つくと、彼はすぐに私を責める……」

こんなにされても、どうして私は彼を諦められないの？

綿は子供のように悲しそうに沈娆に訴え続けた。

「本当に痛い」輝明を愛することは、本当に苦しいことだ。

もしできるなら、彼女は輝明に出会わなかったことを願っている。

「玲奈ちゃん……私は愛される価値がないの？」

玲奈は心が痛み、優しく慰めた。「綿ちゃん、自分を消耗しないで。あなたは勇敢で熱烈な人よ。あなたは十分に頑張った。ただ、輝明はあなたの運命の相手ではなかったの！」

綿は目を開け、涙でアイラインがにじんで熊猫のように見えた。悲しげでかわいそうに見えた。

「本当に？」

玲奈は彼女を見て泣きたくもあり、笑いたくもあった。「もちろん本当よ。あなたは愛される価値がある。見て、私があなたを愛しているじゃない？」

彼女はティッシュで綿の化粧を拭き取ろうとしたが、拭けば拭くほど黒くなってしまった。

「ちょっと待って、湿ったティッシュを持ってくるから」玲奈が言った。

綿はうなずいた。

「どこにも行かないでよ！」玲奈は何度も念を押した。「いなくなったら探さないからね！」

綿は酔っ払うとよくふらふらとどこかへ行ってしまう。

綿は眉をひそめ、彼女の言葉がうるさく感じた。

玲奈は急いでタッフに湿ったティッシュを取りに行った。

綿は一人でソファの背もたれに寄りかかり、少し座っていたが、頭がぼんやりとして、玲奈の忠告を完全に忘れてしまった。

立ち上がって舞台の方に向かい、ある男を捕まえてこう尋ねた。「私、愛される価値がないの？」

「綿お嬢様、大丈夫ですか……