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第379話

里香は急いでご飯を二口だけ食べると、立ち上がり、かおるの家へ向かった。

階段を上がると、すでにかおるの部屋のドアが開いていて、警察官が二人、入り口に立っていた。

かおるは警察と何やら話していた。

「かおる!」里香は近づいて声をかけた。

かおるは彼女を見て、すぐに言った。「里香ちゃん、ここに住んでた時、誰かが入ってきたことってあった?ケガとかしてない?」

二人の警察官も里香に視線を向けた。

「私が住んでた時は、誰も入ってきたことなんてなかったわ」と里香は答えた。

かおるは眉をひそめながら、「じゃあ、あんたが引っ越してから入ってきたってことね」と言った。

里香は頷いて、「多分、昨夜のことだと思う。一昨日は戻って片付けてたし」と答えた。

警察は家の周りの監視カメラの映像を確認したが、怪しい人物は一切映っていなかった。

結局、この件はうやむやのまま終わりそうだった。

かおるは里香を部屋に引き入れ、「運が悪いわね、引っ越さなきゃダメかも」と言った。

里香は「前に借りてた部屋があるんだけど、今はもう住んでないから、かおるが使っていいわよ」と提案した。

「どうしてそんな部屋借りたの?」と、かおるは疑問を口にした。

そこで里香は一連の経緯を話し始めた。それを聞いたかおるは、顎に手を当てながら、美しい顔に思案の色を浮かべた。

「あなたが言ってた通り、誰かがわざと山本のおじさんに息子が虐待されてる写真を送ったけど、その人は息子を刑務所に入れてないんでしょ?」

「そうなの、それがずっと不思議で。どうしてそうしたのか、全然わからないのよ」と里香は頷いた。

「ほんと、変な話だよね。おじさんの息子をどうするつもりもないのに、わざわざそんな写真を送るなんて」と、かおるも首を傾げた。

「まあ、深く考えなくてもいいわよ。この話はもう過去のことだし、おじさんも諦めたしね。私は部外者だし、もう口を出すのはやめるわ」と里香は肩をすくめて答えた。

「ふぅ......」かおるはため息をついた。そしてすぐに、「それで、里香ちゃんはどうなの?」と聞いたが、里香は答えず、逆に「そっちは?ケガの方はもう大丈夫?」と尋ねた。

「もう平気よ、ほら、これ見て」と、かおるは笑顔で小さなお守りを取り出して見せた。「これ、里香ちゃんのために持ってきたの。カバンに入れておけば、これから嫌なこ
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