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第381話

「やめて!」

雅之は冷たい目でかおるを見ながら、そばにいたボディガードに指示を出した。

二人のボディガードがすぐにかおるに近づき、無理やり彼女を押さえつけて電話を取り上げた。

「何してんの?このクソ野郎、放せよ!」かおるは必死にもがいた。

ボディガードは電話を丁寧に雅之に手渡し、雅之は受け取ると、動画や写真を消してからすぐにボディガードに投げ返した。

里香はかおるのそばに駆け寄り、ボディガードを睨みつけた。「かおるを放して!」

ボディガードたちは里香の立場を知っていたが、雅之の命令が優先だ。どうすべきか迷って、雅之を見やった。

「あなたの奥さんって、ただの飾りだけなの?」里香は冷たく雅之を見据えた。

店内の空気がピリつく。

雅之は冷たい視線を彼女に向け、手を振って合図を送ると、ボディガードたちはすぐにかおるを解放した。

解放されたかおるはすぐに雅之に突進した。「このクソ男!」

「かおる!」

里香が声を張り上げ、彼女を引き止めた。

その声で、かおるは我に返り、自分が誰に向かって叫んでいたかを思い出した。まずい、雅之って執念深いし、あんなに罵っちゃったし、何かされないよね......?

「僕のグループのイメージモデルに謝れ」と雅之が冷たい声で告げた。

「なんで私が謝らなきゃいけないの?謝るべきはお前らだろ、このクソカップルが!」かおるは抑えきれず、また罵った。

雅之の顔がさらに暗くなった。「どうやら、僕と彼女、両方に謝る必要がありそうだな。侮辱、名誉毀損、肖像権の侵害、そして暴言......15日間の拘留もありえるぞ?」

「このクソ男......」

かおるは怒りで爆発しそうになり、今にも雅之に掴みかかりたい気持ちでいっぱいだった。

「落ち着いて、かおる。拘留されたいの?」里香が慌てて彼女を止めた。

かおるは震える手を何とか抑え込んだ。

里香は雅之を見つめ、その背後で縮こまっている睦月に目をやった。

「謝るなんて無理。最初に挑発してきたのはそっちだし。あなたならうまく処理できるのはわかってるけど、これがネットに広まったら、あなたにも睦月さんにも悪影響しかないでしょ?」

雅之の目が鋭くなった。「つまり、謝らせるつもりはないと?」

里香はすぐに答えた。「かおるは私を守ってくれただけ。何も悪くないわ。謝る理由がないでしょ?」

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