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第267話

電話が繋がると、月宮の生意気な声が聞こえてきた。

雅之は冷たく言った。「かおるに何か仕事を与えてくれ」

「ん?」月宮は不思議そうに尋ねた。「彼女、何かやらかしたのか?ちょっと待てよ、もしかして里香にアドバイスして、お前から離れろって言ったんじゃないか?」

雅之の目が冷たく光った。「その通りだ。お前、察しがいいな」

月宮は笑って言った。「ちょっと待てよ、今お前、俺に頼み事してるんだろ?もう少し態度を良くできないのか?」

「お前、本当に頭がいいな」

月宮:「......まあいいや、お前から褒め言葉を聞くのは無理だってわかってる。でも安心しろ、その件はちゃんとやっておくから」

雅之は軽く返事をし、「あっちの方もちゃんと見ておけ」と言った。

月宮は「心配するな、大丈夫だ」と答えた。

「それならいい」

里香が洗面を終えて出てくると、ホテルのスタッフが朝食を運んできていた。二人で朝食を済ませた後、病院へ向かった。

雅之は腕の包帯を交換して、注射を受ける必要があった。里香はその様子を見るのが怖くて、包帯が外されるとすぐに顔をそむけた。雅之は里香をじっと見つめ、薄い唇をきゅっと一文字に結んでいた。

病院を出て間もなく、里香の電話が鳴った。画面を見ると、祐介からの着信だったので、すぐに電話を取り、「もしもし、祐介兄さん」と答えた。

祐介の心地よい声が聞こえてきた。「また安江町に戻ってるって聞いたけど、どうしたんだ?」

里香は祐介の心配を感じ取りながらも、さりげなく言った。「うん、ちょっとこっちで片付けなきゃいけないことがあって、それが終わったらすぐに戻るつもり」

祐介はゆっくりとした口調で、「本当は雅之に引き止められてるんじゃないのか?北村家の寿宴の時、あいつが俺を睨んでたの、隠しきれてなかったぞ」と言った。

里香は軽く笑って、「大丈夫だよ、祐介兄さん。心配してくれてありがとう」

祐介は笑いながら言った。「もちろん心配するさ。俺には里香みたいな熱心なファンがいるんだからな」

少し間をおいて、祐介は続けた。「何かあったらすぐに連絡してくれ。今海外にいるけど、それでも力になれるから」

里香は心が温かくなり、「ありがとう、祐介兄さん」と優しく答えた。

祐介は「気にするなよ。ところで、海外にいると一番恋しいのはお前が作る料理だな。こっちの食べ物は本当
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