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第171話

里香は一瞬驚いた。祐介がこっちに来るの?

「うん、わかった」と答えて電話を切ると、すぐに玄関へ向かった。しばらくしてドアベルが鳴り、ドアを開けると、紫色の短髪が特徴的な祐介が立っていた。

「祐介兄ちゃん、来てくれたんだね」

里香は微笑んで言った。

祐介は口元をほころばせ、その魅力的な顔立ちが一層際立ち、目が人を惹きつける美しさを帯びていた。

「何かあったの?」

里香は彼を中に招き入れ、事の経緯を簡単に説明した。

祐介はテーブルに置かれた野菜を見て、眉を上げながら、「つまり、警察署を出たのはこれのため?」と尋ねた。

里香は頷いた。「そうなの」

祐介は少し困ったように、「その時、なんで言わなかったの?」

里香はその問いに戸惑い、鼻を触りながら答えた。「早くこの問題を解決したかったんだ。でも、警察の仕事が思ったより遅くて、ずっとこの重荷を背負っているのも嫌だったから。だから、祐介兄ちゃんに手伝ってもらうしかないかなって思って…」

少し間を置いて、里香は続けた。「本当は祐介兄ちゃんに迷惑かけたくなかったけど、今はあなたしか頼れなくて…」

祐介は軽く笑って、「大丈夫、大したことじゃないよ」と言った。

その言葉を聞いて、里香は安心したように目を輝かせた。「じゃあ、どのくらいで結果が出るの?」

「ちょっと待ってて」と言って、祐介は携帯電話を取り出し、誰かに電話をかけた。しばらく話した後、里香に向かって「明日の昼には結果が出るよ」と伝えた。

里香は嬉しそうに、「本当に良かった、祐介兄ちゃん、ありがとう!」とお礼を言った。

祐介は冗談っぽく、「お礼はそれだけ?」と聞いた。

里香は少し考え込んでから、「じゃあ…ご飯を奢る?」と提案した。

祐介は「外で食べるのはつまらないし、君の手料理が食べたいな」と言った。

里香は驚きながらも、「本当にいいの?あまり美味しくないかもよ」と言った。

祐介は笑って、「君が作るなら、味の判断は俺に任せて」と答えた。

里香は「わかった!」と元気よく頷いた。ちょうど他の食材もあったので、彼女は袖をまくり上げて料理を始めた。

祐介はダイニングに座り、キッチンで忙しく動く里香の姿を見つめた。

なんだか…微妙な感じだな。

しばらく
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