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第166話

里香は冷たい目で大久保を見つめ、「無断で私のものに手を出して、それで済むと思ってるの?」と鋭く言い放った。

大久保は顔をさらに険しくし、「よくもそんなことが言えるわね?」と反撃しようとした。

「これ以上言い返すと、ただの罵り合いじゃ済まないわよ」と、里香は冷たく言い切った。

大久保は一瞬黙り込んだが、すぐにマネージャーを呼びに行った。

マネージャーの山本がすぐにやってきて、荷物の中身を見て顔色を変え、里香に向かって「小松さん、これは君のものですか?」と尋ねた。

里香は冷たい表情を崩さず、「どういう意味ですか?」と逆に問い返した。

「こんな気持ち悪いものを会社に持ち込むなんて、何考えてるんだ?同僚たちが仕事に集中できなくなるじゃないか!」と山本は声を荒げた。

以前、山本はこんな態度を取る人ではなかった。

里香がマツモトグループのプロジェクトを担当していたからだけでなく、上司の雅之が彼女に対して曖昧な態度を取っていたからだ。

しかし今日、里香をプロジェクトチームから外すように桜井から指示を受けた時、山本は驚いた。

遠回しに理由を尋ねたが、桜井は何も言わずに電話を切った。

その時、山本は里香が失脚したのではないかと感じた。

雅之が彼女に興味を失ったのかもしれない。それで、山本の態度も変わったのだ。

里香は眉をひそめ、「この荷物は他の人が私に送ったもので、こんなものが入っているとは知らなかった。それはさておき、大久保さんが私の許可なく勝手に手を出したことについては、どうお考えですか?」

山本は一瞬言葉に詰まり、大久保を見た。「なんで小松さんのものに勝手に手を出したんだ?気分が悪くならなかったのか?」

大久保は得意げに笑いながら、「そうね、これからは彼女のものには触れないことにするよ」と言った。

山本は里香を見て、顔を曇らせながら「早くこの気持ち悪いものを処理しなさい。次があれば、もう来なくていいから」と言い放った。

里香は、明らかにターゲットにされていると感じ、拳を握りしめた。

机の上の荷物を見て再び顔色が青ざめると、近くにあった袋を手に取り、それを覆ってゴミ箱に捨てた。

再び自分の席に戻ると、手足がまだ冷たかった。

この荷物の差出人は、前回メッセージを送ってきた人物
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