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第158話

里香は山崎を押しのけ、そのまま病室に飛び込んだ。

「入っちゃダメ!」

山崎が慌てて里香を掴もうと手を伸ばしたが、かおるがすかさず彼女を止めた。「何するつもり?私にぶつかったら、あなたのせいにするからね」

山崎は信じられないといった目でかおるを睨みつけ、言葉を失った。

全く理解できない!

かおるは顎を上げて、警戒しながら山崎を見つめた。

その時、病室の中では――

正光、由紀子、そして月宮を含む数人が、病床の雅之を緊張した面持ちで見守っていた。

雅之はゆっくりと目を開け、その美しい顔に青白い色が浮かび、状態が非常に悪そうだった。

「雅之、やっと目を覚ましたのね。心配させないでよ!」

正光は、彼が目を覚ましたのを見て、ほっと息をついた。

月宮が横で尋ねた。「気分はどう?」

雅之は鋭い眉をひそめ、顔には酸素マスクがついており、かすれた声で「大丈夫だ」と答えた。

その時、由紀子が口を開いた。「雅之、無事で本当に良かったわ。あなたは知らないかもしれないけど、あなたが中毒になった時、お父さんは心配でたまらなかったし、里香も病室の外で一晩中待っていたのよ。でも、どうして中毒になったの?何か不衛生なものでも食べたの?」

由紀子の言葉が終わると、病室の空気が一瞬で冷たく重くなった。

雅之の深い黒い瞳にも冷たい光が宿り、かすれた声で「里香は…どこにいる?」と尋ねた。

「雅之!」

ちょうどその時、里香が駆け込んできて、彼が目を覚ましたのを見て涙がこぼれ落ちた。彼女はベッドのそばに駆け寄り、「目を覚ましたの?大丈夫?体調はどう?」と問いかけた。

雅之が目を覚ましたことで、里香の心の重荷がようやく軽くなった。

まるで彼が消えてしまわないように、里香は彼の手をしっかりと握り、その温もりを感じ取ろうとした。

「誰が彼女を入れる許可を出したんだ?」

正光はその様子を見て、顔色が一気に暗くなった。

由紀子は慌てて、「そんなこと言わないで。里香は雅之の妻なんだから、二人には話すことがあるはずよ」と、正光を引っ張り出そうとした。

しかし、その時、病室の中から雅之のかすれた低い声が響いた。「里香、お前…そんなに僕を憎んでいるのか?」

由紀子は驚いて眉を上げた。

正光の顔色はさらに暗くなり、月宮も眉をひそめた。

里香は信じられないという表情で彼を見つめ、「あ
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