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第155話

里香は少し目を伏せ、不安な気持ちが心をかすめた。

由紀子が近づいてくると、その視線はまるで「お前が毒を盛って雅之を殺そうとしたのか?」と問い詰めるかのようだった。

由紀子の以前の行動を思い出した瞬間、里香は心の底からゾクッとする寒気が広がり、全身に行き渡っていくのを感じた。

「ねぇ、何してるの?」

その時、月宮の声が聞こえてきた。

振り向くと、かおるが月宮のそばを離れ、里香に歩み寄ってきた。手を握りながら、心配そうに言った。「里香ちゃん、大丈夫だよ」

普段は雅之を散々批判していたかおるも、里香が雅之を深く愛していたことを知っていた。

たとえ今は離婚を考えていても、一度あれほど愛した人を簡単に忘れられるはずがない。

それはただの表向きに過ぎないと、かおるは分かっていた。

「かおる!」

月宮が不満げな声を上げた。「頭が痛いって言ってるのに、俺が倒れても構わないっていうのか?」

かおるは振り返り、「頭が痛いなら、病室で大人しくしてくれないか?」と返した。

月宮は腹を立てて頭を押さえた。

里香はかおるに向かって、「そんなこと言わないで。月宮さんが早く元気になれば、あなたも早く自由になるんだから」と言った。

かおるは唇を噛みしめ、月宮に向かって「ちょっと待っててね」と言い残し、その場を離れた。

月宮は眉をひそめ、「何しに行くんだ?」と尋ねたが、かおるは答えず、急いで去って行った。

月宮は里香を見て、「君の友達、なんか頼りにならない気がするな」と言った。

里香は冷静に、「それなら、看護師を雇った方がいいんじゃない?かおるさんをあまり信用していないみたいだし、もし彼女が君の世話をしている間に、また君を傷つけたらどうするの?」と提案した。

月宮は笑って答えた。「大丈夫だよ、ああ見えても本当はいい子なんだ。もしまた僕を傷つけたら、今度はもっとずっとお世話してもらうことになるかもね」

里香はその言葉に黙った。

5分後。

かおるが戻ってきた。今度は車椅子を押して、月宮の後ろに持ってきた。

「はい、座って」

月宮は車椅子を見て、次にかおるの顔を見た。「俺、足が悪いわけじゃないんだけど」

かおるはまばたきし、「頭が痛いんでしょ?これに座れば少しは楽になるよ。今は足は平気でも、将来どうなるか分からないし、今のうちに慣れておいた方がいいかもね」と言
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