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第154話

救急車はすぐに到着し、里香も一緒に病院へ向かった。

カエデビルの入口付近で、黒い野球帽と黒いマスクを着けた女の子が、救急車が去るのをじっと見つめ、スマートフォンを取り出して電話をかけた。

「奥様、任務完了しました」

病院に着くと、雅之はすぐに救急室に運ばれた。

検査の結果、雅之が中毒を起こしており、毒が体内に急速に広がっていることが判明した。

その結果を聞いた瞬間、里香は呆然とした。

中毒?

どうして雅之が中毒になるの?

混乱する里香の顔色は青ざめ、手足はかすかに震えていた。

看護師が救急室に入ろうとするのを見て、里香は急いで駆け寄り、「解毒はできるんですか?」と尋ねた。

看護師は「分かりません、医師に聞いてください」と言い残し、里香を押しのけて救急室に入っていった。

救急室の上の赤いライトが点滅し、里香はただぼんやりと前を見つめ、どうすればいいのか一瞬分からなくなった。

思わず自分の腕をつねって、痛みで少し冷静さを取り戻した里香は、すぐに警察に電話をかけ、「通報します。誰かが毒を盛りました…」と報告した。

その後、里香は急いで家に戻り、警察と一緒に食べ物を検査に出すために持っていくことにした。

雅之が中毒になったのはその食べ物を食べた後だったから、食べ物を検査に出すのが当然だと思った。

でも…

自分もそのご飯を食べて、スープを飲んだのに、どうして自分は無事なの?

冷静にこれらのことを処理しながら、警察が食べ物をパトカーに積み込むのを見て、里香は急いで病院に向かった。

救急室の前に着くと、東雲とかおるもそこにいた。かおるは月宮を支え、無気力な表情をしていた。

「里香…」

里香の姿を見て、かおるの目が一瞬輝いた。

月宮は頭に白い包帯を巻き、里香を敵意に満ちた目で睨みつけた。「どこ行ってたんだ?」

東雲も冷たい目で里香を見つめていた。

「雅之が中毒になったから、食べ物に毒が入っていたと思って警察に通報したのよ。食べ物は警察が持って行って、検査してもらってる」

その言葉を聞いて、東雲と月宮は互いに顔を見合わせた。

二人とも少し驚いた様子だった。

普通なら、他の人だったら慌てふためいていただろうけど、里香はまだ冷静さを保っていた。

月宮は東雲に向かって「東雲、雅之が今日一日で接触したものにおかしなところがないか調べてみて
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