共有

第25話

「ありえません!彼らが私を裏切るはずがありません!」

「もし友梨がやったと思うなら、証拠を出しなさい。証拠がないなら黙っていろ。この件は会社がすでに寛大な対応をしているんだから、恩を仇で返すようなことはやめろ」

谷井のすべてを見通すような目に対して、加奈は自分の小さな考えがすべて見透かされたように感じ、思わず心が揺らいだ。

彼女はうつむきながら、自信なさげに「谷井さん、わかりました。先に仕事に戻ります」と言った。

谷井は返事をせず、手元の書類を取り上げて読み始めた。

彼女が怒っていることに気づいた加奈は、何も言わずに振り返ってしょんぼりと立ち去った。

研究開発部に戻ると、彼女は真っ先に友梨の方へと向かった。

「友梨、裏で通報することは本当の力ではないよ。今後は仕事に集中した方がいいと思う。結局、君の研修期間は三ヶ月だから、途中で何かトラブルが起きたら正社員になれないかもしれないよ?わかった?」

彼女が得意げな様子を見せると、友梨は表情を変えず、目を伏せて文献を読み続けた。

加奈がまだ何も言わないうちに、隣にいる女性が怒って言った。「ねえ、あなた、聞こえないの?それとも、話せないの?加奈があなたに話しかけているのが聞こえなかったの?」

「ねえ、綾香、そんなに怖がらないでよ。どうせ私も大丈夫だから、ただ裏でこそこそ動いている人の考えを無駄にさせただけだから」

青山綾香は冷たく言った。「もし誰かが再びあなたを陥れようとしたら、私はその人を研究開発部にいられなくしてやる!」

友梨は眉をひそめた。この二人が耳元でぺちゃくちゃ話していて、彼女は論文に集中できず、顔色も冷たくなった。

「神田、裏で小細工をするなんて、あなたにぴったりです。本当に暇なら、もっと文献を読んで知識を補っておいたほうがいいと思います。次の実験でデータが悪くても、その原因がわからないなんてことになったら大変ですよ」

加奈の顔色が変わり、友梨を見つめる目は毒を含んでいるようだった。

「いいだろう、覚えてな」

言い終わると、彼女は綾香の手を引いて去った。

耳元がやっと静かになり、友梨はようやく文献をじっくり読めると思った。

彼女は何本の論文を続けて読み、読みながらメモを取っていた。気がつくと退勤時間をとっくに過ぎていた。

スマホが鳴るまで、彼女はすでに六時を過ぎていることに
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status