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第8話

雪絵の目が一瞬驚きに見開かれ、その後軽蔑の笑みを浮かべた。彼女は華やかに私を通り過ぎ、テーブルにテイクアウトの箱を置いた。

「もう食べたの? こんなに必死になって戻ってきて、誰かの世話をするなんて……」

私の手にある保温ジャーを見て、彼女は皮肉げに言った。

私は怒るでもなく尋ねた。「雪絵、お前と風間は結婚証明書を取りましたか?」

息子をブロックしてから、彼が雪絵について言及することもなくなった。もし二人が結婚していたら、私がここにいるのは不適切だと思ったのだ。

雪絵は一瞬呆然とした後、冷笑した。「お前に関係ないでしょう?」

「ただ確認したいだけよ。結婚していないなら、お前の文句を聞く義理はないわ」

彼女の顔が真っ青になった。風間が横から口を挟んだ。「もちろん、結婚していないよ」

風間があえて私の味方をすることはほとんどなかったし、特に雪絵の前では初めてのことだった。

私は微笑んで言った。「そうだったのね。それなら、そんな態度を取るのはやめてくれない?」

彼女をにらんで、私は保温ジャーを持ってドアに向かった。

「風間、息子に伝えておいて。お前はもう私の責任じゃない。これからは何があっても私には頼らないで」

風間の顔が赤くなったが、何も言い返せなかった。

去り際に、背後から雪絵の叫び声と二人の口論が聞こえた。

私は息子に電話をかけ、自分たちで解決するように伝えた。自分の選んだ道は、どんなに苦しくても最後まで進むべきだ。

その後、雪絵と風間の争いは止まらなかった。

まだ離婚していない頃、雪絵はYouTubeのアカウントを開設し、最初は自分の素敵な生活を記録していた。次第に風間との仲睦まじい姿も投稿されるようになったが、最近は日々の不満ばかりを述べていた。

その様子を見たとき、私は思わず笑ってしまった。これが彼が心に抱いていた理想の女性なのか。昔、私に内緒で一緒に写真を撮ったのに、今となっては散々な状況だ。

一部の人たちは遠くから眺めるだけでいいもので、現実に触れると幻想が崩れる。

彼らのことは気にしなかった。どうなろうと勝手にすればいい。

しかし、予想外にも二人の間で大きな喧嘩が起こった。雪絵は激怒して風間に平手打ちを食らわせた。

高齢で病院を出たばかりの風間は、その一撃で倒れてしまい、脳出血を起こした。ちょうど部屋に入ってきた息
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