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第6話

そんなわけで、私は荷物を持って小さなアパートを完全に一人で占有した。もう一つの部屋は貸しに出し、静かで落ち着いた日々を送るようになった。

もう朝早く起きて、あのうるさい人のために粥を作ったり、料理を準備したりすることもない。息子が突然来るたびに、慌てて食事を用意しなくてもいい。

すべてが私の好きなように進んでいく。その瞬間、私は大きな安堵を感じた。生活ってこんなにも素晴らしいものだったんだ。

風間は意地を張るように、本当に雪絵と同居するようになった。

息子は時々SNSに動画をアップデートしていて、その動画では雪絵と風間が楽器を弾き、歌を歌い、とても楽しそうに過ごしている様子が見られた。

風間が歌を好むことは知っていた。若い頃、工場でのイベントではいつも積極的に参加して、歌声を披露していた。

雪絵はピアノを弾いていて、二人は互いに微笑み合っている。知らない人は本当に彼らが数十年間一緒に過ごしてきた夫婦だと思ってしまうだろう。

いや、彼らは密かに何十年も関係を持っていたのだから、自然と息が合っているのだろう。

私の方はただ日常的なことをこなすだけだった。それについては特に何も言わなかったが、彼らのSNSを全てブロックした。

時々娘夫婦をアパートに招待して食事をする。私が一人でもこれほど充実した生活をしているのを見て、娘夫婦は今の私の状態を全面的に支持してくれている。

それでも、多くは言わず、体に気をつけろと言ってくれ、家に監視カメラまで設置してくれた。何かあったら困るからという配慮だ。

彼らの心遣いには感謝している。

実は婿も私の説得によってずいぶん変わったし、娘も自分の仕事を持つようになって、彼らの家庭関係も少しずつ変化している。

女性が家計を助けるのが当然とは限らない。彼女たちも家族のために働いているのだ。

世間では家庭主婦の貢献が見えないことが多い。家事や育児は女性の仕事だと決めつけられているが、本当は夫婦で協力してこそ良い家庭ができる。

一方だけの努力では、それは努力ではなく搾取だ。若者の言葉で言えば、労働者は牛馬のように使われているが、家庭内でも同じだ。労働者は辞めることができるが、私たち家庭内の労働者はそうはいかない。

私の生活は充実していて幸せだった。一方、風間の方は最初は良かったものの、すぐに支えきれなくなった。

3ヶ月
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