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第6話

織絵のLINEにはすぐに新しい投稿が更新された。

「あなたと過ごす時間はすべて貴重だわ」

添えられた写真は、弘樹が病床で彼女の手を握っているものだった。

織絵の思惑は明らかだが、弘樹だけが彼女を賢く善良だと信じていた。

最初は、弘樹の周りに自分の存在を仄めかす程度だった。

やがて、弘樹が私と柚希を見に来るたびに、織絵は必ず弘樹を連れ去る方法を見つけ出した。

柚希の誕生日の前日には、弘樹との約束を破らせるために自殺未遂まで仕組んだ。

弘樹は知らなかった。彼が急いで織絵を助けに向かったその日の午後、織絵は私だけに見えるようにLINEに投稿していた。

「愛されない人こそが愛する人、そうよね?」

私は弘樹に何度も織絵の本性について言及した。

しかし、彼は眉をひそめて私を責めた。「誰も自分の命を冗談に使うわけがない。理奈、お前の心の中はどれだけ暗いんだ?」

なんて滑稽なことだろう!

織絵の言うことは何でも信じるのに、自分の娘が死に瀕していることを信じようとしない。

弘樹は柚希を何度も失望させ、堂々と言った。「これからもっと僕が会いに行く時間はあるさ。でも織絵が自殺したら、お前はその責任を取れるのか?」

私は何も言い返せず、柚希が父親を待つ眼差しを前に、嘘をつくしかなかった。

携帯電話が鳴った。風間家の祖母からの電話だった。

彼女は私に弘樹と一緒になりたいかどうか尋ねてきた。

私はもういいと答えた。

祖母はため息をつき、「分かったわ。良い子よ、それから一つ、教えてあげたいことがあるんだけど……」

電話を切ってから、私は長い間考え込んだ。

柚希の死は無駄にしてはいけない。

この男と女に報いを受けてもらわなければならない。

深夜になって、弘樹が帰ってきた。手には夜食を持っていた。

「理奈、お前の大好きな雑炊買ってきたぞ。椎茸も入ってるし、いくつかの小菓子もある。食べてみてくれ」

昔なら喜んでいたかもしれない。

だが、今では彼の顔を見るだけで腹立たしい気持ちになるばかりだった。

「弘樹、私が椎茸アレルギーだって知らないの?」

彼の表情が変わり、手を引っこめた。

「ごめん、理奈。また買い直してくる」

「いらないわ。彼女のために持っていきなさい。私のことは気にしないで」

弘樹は一瞬黙り込み、涙を浮かべて私を見た。

「理奈、お前
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