第12話

僕は一葉を連れて家を売るために戻ったとき、再び知恵に出会った。

彼女は古びたダウンジャケットに身を包み、車椅子に座って縮こまっていた。その目の周りは深く窪んでいた。

「あなたたち......」彼女は力を振り絞って私を見上げ、そして驚きの声を上げた。

「一葉、早くおいで、ママのところに。前はママに抱っこされるのが一番好きだったでしょ？」

一葉は彼女の腕を見て少し戸惑い、僕をちらりと見た。

以前、知恵は娘にあまり良い母親ではなかった。一度、僕が夜勤で病院にいるとき、彼女は酔っ払って、まだ歩き始めたばかりの娘に自分の世話をさせようとした。あの時、大きなカップの熱い水が一葉の足にかかってしまった。

僕が家に帰ったときにはすでに明け方になっていて、一葉は痛みに耐えきれず泣きながら意識を失っていた。

彼女の足には大きな水ぶくれができていて、僕はすぐに子どもを病院に連れて行った。

一方、知恵はソファで抱き枕を抱えたままぐっすり寝ていた。

その後、あの夜の出来事を知っても、彼女は「足に火傷しただけだから、もし痕が残っても大丈夫」と無関心に言っていた。

それ以来、一葉は彼女をとても恐れていた。

今、急に母親のような姿を装っているが、残念ながら子どもはもう母親の愛を必要とする年齢ではなかった。

僕は一葉を引き寄せて自分の後ろに隠し、知恵に向かって言った。

「あの時、あなたが自分で子どもの養育権を放棄したのを忘れたのか？それに今のあなたは......」

僕の視線があまりにもストレートだったので、知恵は急いで自分の服を引っ張り、できるだけ体裁を整えようとした。

「私の足は必ず良くなるわ......今は外出のために車椅子を使っているだけよ」

「それに私は今、回復しているわ。見て、顔もこんなに元気よ」

そう言って、彼女は急いでダウンジャケットの襟を引き下げ、顔と首を露出させた。 彼女の梅毒はもともとそれほどひどくなかったし、感染していた期間も短かったため、治療はそれほど難しくなかった。

回復の時間を経て、顔は以前のように戻ったわけではないが、少なくとも歪んでいない。

一体本当に改心したのか、それともお金を稼ぎ続けたかったのか、彼女は再びライブ配信を始め、過去の反省を語りながら、野良猫の養育をするという公益活動のイメージを作り上げた。

「これまでのこと、本