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第22話

美咲は紅焼き豚を一口食べた。

「どう?美味しい?」と氷川は緊張そうに尋ねた。

彼の緊張した姿を見た美咲は気分が良くなった。彼女は、「美味しいよ」と答えた。

本当に美味しい、もちもちとした食感だった。

美咲は、すべての料理を少しずつ味わい、微笑みながら褒めた。「氷川さん、ほんとうに美味しい」

美咲に褒められた氷川は、やっと安心して席につき、子供のような無邪気な笑顔を見せた。

でも、氷川はあまり食べずに、逆に美咲に料理を取ってあげた。

これまでの長い年月の中で、彼女のことをこれほどまでに気にかけてくれた人は一人もいなかった。その優しい氷川に、美咲の目には涙が浮かんだ。

彼女は辛口だったので、氷川が作ったのは全部辛い料理だった。

「これから、美咲が何をしたいと思っても、僕はいつでもあなたのそばにいるよ。そして、無条件であなたを応援するよ。あなたが辛いものが好きなら、僕はいつも辛い料理を作るよ。あなたのためなら、どんなことでもやる」

美咲は、氷川の突然の告白に驚き、戸惑いながらも、その言葉にドキドキした。

今まで誰も彼女にこんな率直な気持ちを伝えたことはなかった。

「自分は長い間黒崎拓也を愛してきましたが、なぜ突然氷川に心を惹かれたのか?

「もしかすると、自分は本当に黒崎拓也を愛していたのか?」」と美咲は自問した。

しばらく食べていたが、美咲は箸を置いた。

「それだけでいいの?」

美咲は微笑んで答えた。「うん、もうお腹いっぱい」

氷川は料理を彼女の皿に置いた。「体型を気にしなくてもいいよ。美咲はどんな姿でも、僕は好きだから!」と言った。

氷川の言葉を聞いた美咲は突然ドキドキし始めた。彼女はもう一度食べ続けた。

これは氷川さんの厚意に報いたためだった。

彼女がほとんどの料理を平らげたのを見て、彼は満足そうに微笑んだ。

「ここで座って、片付けは僕がやるから」

美咲の心が温かくなり、彼と結婚したのも素敵かもしれないと感じた。

彼女はテレビをつけて、地元のニュース番組を見ているうちに、顔つきが険しくなった。

黒崎グループの入口で、橋本月影は幸せそう黒崎拓也に寄り添い、記者に向かってこう言った。「いい質問ですね。昨日、姉が私と主人の結婚式に参加することにありがたいです

「でも、彼女が知らなかった男を連れてくるなんて、全く予想できません
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