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第31話

伊吹嵐が好奇心を持って尋ねた。

「上がってみたらわかるよ」と鈴木美香が目をパチクリさせて、口元を上げて言った。

「これは東田社長の指示だよ!断ることはできないよ」

伊吹嵐は眉をひそめた。さっきまで喧嘩したのに、すぐに鈴木さんに車で迎えに来させた。

変な女だね。

しかし、鈴木美香が以前助けてくれたこともあった。そして、彼はそれをあまり疑わずに車に乗った。

図らずも彼女は車でバーに行った。

「鈴木さん、東田社長がバーに連れて来いか?」と伊吹嵐は驚いた。

「ふふ、中に入ればわかるよ」

鈴木美香は彼を半ば押し半ば引きしながら、席を選んで座ると、さも自然に自分の髪を撫で上げて言った。

「伊吹さん、実は、東田社長の指示なんか全然ないの。私があなただけをここに連れて来たかったの」

伊吹嵐は戸惑った。

「鈴木さん、あなた何を言ってるのか理解できないよ」

鈴木美香はブツブツ言った。

「鈴木さんって呼ばないで、今は会社じゃないんだから、美香って呼んでもいいよ」

まあ、この女がどんな芝居を打つのか見てみよう。

鈴木美香が口を開いた。

「伊吹さん、あなたに聞きたいのだけど、東田社長のことをどう思うか?」

伊吹嵐は少し考えて言った。

「美人で、学歴も高く、知性もあり、能力も高い。ほとんど完璧だ」

鈴木美香がさらに質問した。

「では、欠点は?怖がらないで、絶対に漏らさないから」

伊吹嵐は言った。

「えっと…性格は少し冷たい。時々へそ曲がりのこともある」

このとき、鈴木美香は突然自分の黒ストを持ち上げ、伊吹嵐の肩に乗せて、情熱的な瞳で彼をじろじろ見る。

「私と比べてどう?私は彼女みたいに冷たくないよ」

伊吹嵐は慌てた。

「鈴木さん」

「どう?判断しできないの?私の身体を見たことがないから?じゃあ、じっくり見せてあげる」

鈴木美香は口角を微かに上げ、突然黒ストを脱ぎ、白い肩を露出した。白くて細やかな体や豊かな胸を見せた。

一瞬にして雰囲気がロマンチックになった。

伊吹嵐はすぐに顔を赤らめ、目をそらした。

「鈴木さん、私はそういう意味じゃない」

「君は本当に臆病者だ」

鈴木美香はストラップを再び着け、口を尖らせて言った。

「あの日、どうして帝国ホテルにいたの?上野浩志はお前にやられたのか?」

伊吹嵐は言った。

「厳密に言
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