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第35話

「話し終わった」

東田家の人々の追い討ちに面して、東田智子は無表情で、

「私は会社の副社長で、9つの部門を統括している。今回の事件の全責任を取る」

「責任を取る?本当にそれができるのか?損失がこんなに大きい」東田正明は怒りに震えた。

しかし、東田立原は手を振って言った。

「取締役会はあなたに2週間の期限しか与えることができない。もしその間に解決できなければ、辞職するしかない」

「分かった」

東田智子は冷ややかな面持ちで取締役会を後にした。

しかし、遠く離れるまで、彼女の手は抑えきれずに震え始めた。

まさか今回の上野浩志の事件が虎門を激怒させ、どうしても会社を抑え込もうとするとは思わなかった。

取締役会は早くも自分の母親から受け継いだ株式に目をつけていた。この危機を乗り越えられなければ、彼女は何も残らないだろう。

そう考えた東田智子の目つきが再び決意に満ちた。

函館市全体を見回しても、商業的に虎門に対抗できるのは、首富の高藤誠が率いる高藤商事だけだ。

しかし、ただの東田智子の面子だけでは、首富との接点は絶対に無理だ。人脈を借りるしかない。

そうして彼女は連絡帳を開き、高藤誠を知っている人がいないか探した。

「星野市長ですか?こういうことを確認させていただきたいんですが」

「井上物産の山田常務ですか?東田智子と申します」

しかし、何度か電話をかけても成果はなかった。

気が付けば、東田智子は伊吹嵐の名前にたどり着いた。

おかしい、なぜかこの場面が見覚えた。

「ふん、どうして彼に電話をかけたいと思ったんだろう?おかしいなあ」

東田智子は頭を振り、自分でできないことを、下の小さな社員が何ができる?

考えた末、達下秀樹に電話するしかなかった。

すると相手は胸を張って言った。

「智子さん、私を探し出したんのは正解ですよ。高藤商事の石井常務は私の知人です。私の紹介があれば、高藤社長に会えること間違いなしです」

東田智子は瞬く間に興奮した。

「よかった。やっぱり秀樹さんだ。急ぐ必要があるので、今すぐ高藤商事へ行こう」

一方。

伊吹嵐は車で鈴木美香を別荘に送り届けて言った。

「鈴木さん、まさかあなたの家が東田社長の家よりも立派だと思わなかった」

「どうして知ってるの?もしかして、東田社長の家に行ったか?」と鈴木美香は反問した。
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