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第5話

隣の席の子が好奇心いっぱいの表情で近づいてきた。

「勉強の天才さん、まさか景輝のようなバカの面倒を見るつもりじゃないでしょうね?」

私はペンで彼女の頭をコツンと叩き、断固とした口調で言った。

「安心して。今生の私は、二度と彼のことなんか構わないわ」

その日の夜、髪の毛が乱れ、疲れ果てた表情の謝野の母が我が家の戸を叩いた。

彼女は私を見るなり、私の手を掴んだ。

「奏ちゃん、あなたと景初は幼なじみでしょう。景初はあなたの言うことを一番聞くのよ」

「叔母さんのためにも、彼を説得してくれないかしら。叔母さんからのお願いよ」

「景初の将来をこんな風に台無しにしてはいけないわ!」

私は笑いそうになった。

前世では、彼への好意から彼の将来のために心血を注いだ。

景輝も私の助けを借りて、多くの栄誉を手に入れた。

最後には、彼は幼い頃からの音楽の夢を叶え、音楽の才能者となっただけでなく、星野氏の後ろ盾もあって、世間を揺るがす謝野総裁にまでなった。

でも、彼は私を死に追いやる前に、何度も何度も私に言った。

「月ちゃんがいなければ、これらが何の役に立つというんだ?」

彼は私を憎悪の目で見つめ、こう言った。

「星野奏音、お前のことを本当に憎らしく思う!」

「お前といる一分一秒が、吐き気がするほど嫌なんだ」

彼が私を苦しめている間、謝野の母はずっと冷ややかな目で傍観していた。

それなのに今、彼女は私の手を握り、哀願するような表情で言う。

「晩聴、あなたこそが私たちの景初にふさわしい人よ」

「あなたこそが謝野氏が認めた嫁なの。お願いだから、景初を説得してくれないかしら」

もう十分笑わせてもらった。私はゆっくりと自分の手を引き抜いた。

「結構です叔母さん。私はもう昔から景輝のことが好きじゃありません」

謝野の母は信じられないという顔をした。彼女は執拗に私を見つめて言った。

「どうしてそんなことに?あなた小さい頃、景初と結婚すると言っていたじゃない」

私は微笑んで答えた。

「叔母さん、あなたも言ったでしょう。それは小さい頃の話です」

私の決意を固めた表情を見て、謝野の母は最後には魂の抜けたような様子で帰っていった。

その後の日々、私はほぼ全身全霊を大学入試の準備に注ぎ込んだ。

一方、景輝はこの重要な時期に大それたことをしでかした。

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