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第3話

私は電話で親友に離婚したいと話した。

彼女はそれを聞くと、仕事も放り出して車で私の家まで迎えに来てくれた。

「あの二人、前から気に入らなかったのよ。あなたがかばってただけじゃない。

さあ行きましょう。今すぐあなたの会社に行って、あの二人に離婚を突きつけるわよ」

私はため息をついた。「そうね。ついでに経理に私たち二人の給料を分けるよう伝えないと」

親友は信じられない様子で言った。「えっ、最初に給料を全部あなたに渡すって言ったのは彼じゃなかったの?結婚してどれだけ経ったの?もう後悔したの?」

私は無理に笑顔を作った。とても醜い笑みだった。

「そうなの......」

昔、火事現場で安彦を助けようとして、私は全身火傷を負った。

病院で目覚めた時、ずっと安彦が私のそばにいてくれた。

彼が病床で私の手を取り、プロポーズしてくれたの。ずっと私の面倒を見てくれると約束してくれた。

私の表情を見た親友は、慌てて慰めてくれた。

「まあ......離婚を考えられるようになっただけでも良いことよ。残りのことは離婚してから考えましょう」

会社に着いた時、そこには見知らぬ雰囲気が漂っていた。

火傷で自宅療養を始めてから、一度もここに来たことがなかった。

古くからの社員はほとんど残っておらず、大半が好奇心や警戒心を抱いた若い新顔ばかりだった。

「ご用件は?」受付の女性が笑顔で私たちを見た。

「中島安彦を探しています」親友が私を引っ張って中に入ろうとした。

「お客様、中島部長にお会いになるには事前予約が必要です。予約番号をお教えください」

受付が私たちを止めた。

「予約はしてないし、必要ないわ」親友が私を前に押し出した。「こちらはあなたたちの中島部長の奥さんで、この会社のオーナーよ。これで入れてくれる?」

受付は私たちを見たことがなく、止められないと思うと慌てて警備員を呼んだ。「警備員さん!こちらで騒ぎを起こしている人がいます」

警備員と同時に、安彦と菜々実も現れた。

「誰だ、暇つぶしに我が社で騒ぎを起こしているのは!」

安彦は私を見て一瞬驚いたが、すぐに嫌悪の表情に変わった。

「家でおとなしくしていられないのか。何でうろついているんだ」

「きっと遥姉さんは、私が会社にいて安彦お兄ちゃんの助手をしているのが気に入らないんでしょう。遥姉さんが嫌がるなら、もうやめます。さっきの古株の社員たちも、私には資格がないって言ってましたし」

菜々実がタイミングよく口を挟み、悲しそうな顔をした。

親友が一歩前に出て、私のために弁解しようとしたが、私は首を振って止めた。

「そうよ。私はあなたが私の会社にいるのが嫌なの。あなたもそう思うなら、今すぐ......クビよ」

私は菜々実の信じられない様子の目を無視して、安彦の前に立ち、一言一言はっきりと言った。

「家にいたくないから、自分の会社に来て仕事をするわ。中島部長、何か意見ある?」

「遥、妹に会社で助手をさせただけだよ。そんなに目くじら立てることないだろ」安彦は少し柔らかい口調で言った。

「あなたの言う妹って、妻の7周年記念日に妻が病気だったから代わりにキャンドルディナーに行って、記念動画まで撮った妹のこと?」

私は冷たい口調で、少し皮肉を込めて言った。

「それとも、中島安彦の辞書では、結婚生活に割り込んでくる第三者のことを......ずっと妹って呼んでるの?」

「パシッ」

強い平手打ちが私の頬に当たった。

安彦の力が強すぎて、私はその場に倒れ込み、耳鳴りがした。

彼は体面も気にせず、私に向かって厳しく怒鳴った。「関川遥!これがお前の品性か?すぐに文田菜々実に謝れ!」

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