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第70話

しかし今回、美緒は由紀の目の中に、面白がって見ている感情は感じられず、むしろ励ましの気持ちが感じられた。

美緒は微笑んで言った。「なぜ怖がる必要があるのでしょうか?」

調香師として、香りの調合だけでなく、悪臭を抑えることも仕事の一部だということを知らないはずがない。

すべての香料が良い香りというわけではなく、中には臭いものや、人を不快にさせるようなものもある。調香師の仕事は、香料の異なる特性を利用して、悪臭を消し、良い香りだけを残すことだ。

しかし、これほど濃厚な悪臭があるということは、ここは様々な悪臭を実験する専用の実験室のようだ。本当に……呆れた!

由紀が自分を困らせようとしているのは分かっていたが、まさかこんな方法を使うとは思わなかった。でも、美緒にとってはどうでもいいことだ。香りの調合に関することにはすべて興味があるし、問題にはならない。

彼女の落ち着いた表情を見て、由紀はまあまあ満足そうだった。「まだ喜ぶのは早いですよ。単に悪臭を抑えて良い香りを残すだけだと思っていますか?それは初心者レベルの調香師でも持っているべき能力ですよ」

「今やってもらうのは、異なる悪臭のデータを記録し、それぞれの特性を分析することです。ここには48種類の異なる悪臭がありますよ。三日以内にこの課題を完成させる必要がありますが、できますか?」

「そんなに長くはかかりません」美緒は彼女をちらりと見て言った。「一日、一日あれば十分です」

由紀の目に驚きが浮かんだが、すぐに普段の表情に戻った。「いいでしょう、一日と言いましたね!後で私が意地悪だったなんて言わないでね。自分で大口を叩いたんだから、成功しても失敗しても、自分で責任を取ってくださいね!」

「もちろんです!」美緒はもう仕事に取り掛かりたくてうずうずしていた。

彼女の興奮しながら意気込む様子を見て、由紀は不思議と最終結果に期待を感じ始めていた。

正直なところ、最初は彼女に対してとても反発的だった。第一印象が良くなかった故に、その後どんなことがあっても受け入れがたかった。特に山田社長が彼女を残すと言い張ったことで、さらに何か裏があるのではないかと思っていた。

しかし、前回の会議室での彼女の能力を見て、少し考えが変わった。少なくとも、彼女には本当の才能と学識があるようだった。しかし、もし彼女がそんなに優秀なら、
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