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第0051話

もし彼だったとしたら、彼はどんな気持ちで彼女の借金を肩代わりしたのだろうか?夫として?

だが、その期待はすぐに打ち砕かれた。借金を返済してくれたのは隼人ではなく、若年だった。

瑠璃はすぐに彼に電話をかけ、彼はすぐに駆けつけてくれた。

事情を話すと、彼はほっとしたように言った。「瑠璃ちゃんが何か大変なことになったのかと思ってたけど、そんなことなら気にしないでいいよ。心配するようなことじゃないから」

「これは大事なことよ」瑠璃は真剣な眼差しで彼を見つめ、「いつ返せるか分からないけど、本当に感謝してる」

「急がなくていいさ。お金に困ってるわけじゃないから」

「それは分かってるけど、でも……」

「もし本当に感謝してくれるなら、まずは食事にでも行こう。空腹でここまで来たんだよ」彼は笑顔で言い、彼女が言おうとしていたことを遮った。「瑠璃ちゃんが少しでも楽になれるなら、それで僕は十分幸せだよ」

彼の優しい視線に、瑠璃は微妙な感情が浮かび上がってきた。

彼女は少し戸惑い、視線をそらして頷いた。「うん」

瑠璃は出所したばかりで、お金がほとんどなかった。彼に一緒に食事を奢る余裕もないのではないかと不安だった。

しかし、若年はそれをすでに考慮していたらしく、彼は焼き鳥を食べに行こうと提案した。

富裕な家に育った彼が、路上の焼き鳥を食べるなんて、瑠璃は少し申し訳なく思ったが、若年はとてもリラックスしており、席に座ると、「瑠璃ちゃん、知らなかっただろうけど、僕は焼き鳥が大好きなんだよ。大学時代によく注文してたんだ」と笑いながら言った。

彼がそう言ったものの、瑠璃はその真意を悟った。自分に負担をかけないように、あえて安い食事を選んだのだと。

その優しさに、瑠璃の心は温かくなった。

彼から借りた借金は、ナイトクラブで借りるよりもずっと安心だった。ただ、彼に対してさらに恩を感じてしまう。

瑠璃は彼が食事を終えるのを見守ったが、体調のため、油こいものを食べることができなかった。

二人はネオンに照らされた街を歩きながら、若年はふとため息をついた。「瑠璃ちゃん、知ってた?大学時代、いつか君と一緒にこうやって肩を並べて歩きたいってずっと思ってたんだ。その夢が今ようやく叶ったよ。でも、もうすぐ僕たちも30代だな」

彼の言葉には少しの感傷が混じっていたが、顔にはほのかな喜び
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