第254話

紗希は「あ」と声を上げ、どう言う状況なのか理解した。

もし養父母が、その女性の子供が実の孫ではないと知ったら、きっと発狂するだろう。

そう考えると、なんだか楽しい気分になった！

紗希は大きなあくびをした。

一日中忙しかったせいで身体は疲れており、お腹も少し調子が悪かった。

北は彼女の具合が悪いのを見て取り、すぐに話題を変えた。

「食事にしよう。紗希が無事に帰ってきてよかった」

どうせあの養父母は痛い目に遭っており、もう来ないだろう。

紗希は食事を終えると部屋に戻って休んだ。

本当に疲れていた。

翌日、紗希は目覚めると、無意識のうちに見出しに目をやり、拓海と詩織の婚約のニュースを探した。。

目立ちたがり屋の詩織の性格からして、昨日拓海と婚約したことをこっそり投稿するはずだ。

しかし、何度更新しても、婚約に関する情報は一切見つからなかった。

おかしいな、なぜないんだろう？

あるはずなのに。

もしかしたら、拓海は自分と結婚したときと同じように、秘密にするよう要求したのかもしれない。

どうやら詩織にも、公開する権利は与えられていないようだ。

紗希はそのままスタジオに直行した。

自分の席に着くと、風間が歩いてきた。

「紗希、昨日の婚約式の残金が振り込まれたよ。今夜みんなで夕食を食べよう」

紗希は少し無理して明るい表情で言った。

「新郎新婦は私がデザインした会場を気に入ってくれたみたいね。支払いが早いわ！」

風間は突然声を低くして言った。

「この件については、お前一人にしか話さないから、他の誰にも言わないでね。実は、昨日の婚約は続行されず、キャンセルされたんだ」

「キャンセル？本当？」

昨日の婚約式がキャンセルされたとは信じられなかった。

「僕が嘘をつく理由なんてないだろう。確かにその日我々はスタジオに戻ったけど、装飾をうまく連携するために、僕はそのホテルの担当者と連絡をとったんだ。その担当者から聞いた内部情報だけど、本当に婚約式はキャンセルされたみたいだよ」

紗希は驚いた。

実は、昨日あのショッピングモールで拓海を見かけたとき、婚約式がこんなに早く終わったのかと疑問に思っていたのだ。

まさか婚約式がキャンセルされていたなんて思わなかった。

以前、詩織は手術のことで拓海を脅していたはずじゃないの？

なぜ今になって婚約