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替え玉が私と親友を殴って、都内のチル系若旦那とトップ俳優がブチ切れた
替え玉が私と親友を殴って、都内のチル系若旦那とトップ俳優がブチ切れた
著者: 平野百惠

第1話

私と親友は同じ孤児院で育った。

大学の学費を稼ぐため、ホテルでバイトをしていた。

まさか、凛と尊との一夜が、そんな形で起こるなんて思わなかった。

この兄弟の異常なまでの独占欲と支配欲は……狂気的だった!

またある日、羞恥心でいっぱいになりながら、凛の腕の中で下着を脱ぐことになった私。

とうとう我慢の限界に達した私は叫んだ。

「もういい加減にして!私は人間なのよ!」

「ペットじゃないんだから!私にだってプライドとプライバシーがあるの!」

一方で、親友も尊が差し出した茶色い液体の入ったコップを床に叩きつけていた。

「私はこの子を産む気なんてないし、そんな薬なんて飲みたくもない!」

ステンレスのカップは床を2回転し、尊は眉をひそめてドアをバタンと閉め、部屋を出ていった。

ちょうど同じタイミングで凛もドアを強く閉め、一瞬だけお互いに視線を交わし、無言で車に乗り込んで出かけていった。

翌日、私たちはテレビの中で見た。

凛と尊がゴシップ誌の記者にキャッチされ、私に似た顔の女性と親友のような雰囲気の女性と、あまりにも親密な姿が報じられていた。

私たちは思わず喜び、これで凛と尊が私たちをすぐに捨てるだろうと確信した。

だが、そんな矢先に、外からうるさいスピーカーの音が聞こえてきた。

この別荘地は富豪ばかりではないが、紅城でも名の知れた人々が住むところだ。

住民たちは体裁を重んじるので、普通はこんな騒々しいことはしないはずなのに…今日は何があったんだろう?

「皆さん見てください!今日は私が旦那のために浮気女を迎えに来ました!ぜひ見届けてください!」

ピンク色の横断幕には「夫の代わりに浮気女を迎える」と大きく書かれていた。

雇われたおじいさんとおばあさんが、懸命に太鼓を叩き、賑やかに騒いでいた。

高橋梨花は別荘の中が静かなままなのを見て、不満そうに太鼓を叩くおばあさんに向かって大声で叫んだ。

「もっと力を入れて!太鼓を叩くために来てもらったんだから、世間話するためじゃないのよ!」

おばあさんはちょうど他の見物人たちとの噂話に夢中だった。

「そうそう、あの二人、兄弟と結婚したんですって」

「まさか、二人とも浮気されるとはね!」

話を聞いていた近所の奥さんは、頭を振りながら梨花を諭した。

「お嬢さん、この団地に住んでいるのは皆、ちゃんと証明をもらってる夫婦なんですよ」

「もしかして何か誤解があるんじゃないですか…?」

奥さんの言葉には明らかな意図が込められていた。

梨花は毛を逆立てた猫のように怒り心頭になり、腰に手を当てて指を奥さんに突きつけて言った。

「あなたが言いたいのは、私が浮気女だってこと!?」

近所の奥さんは両手を振って答えた。

「いえ、いえ、そんなことはありません」

見ている近所の人たちも、彼女のあまりに鋭い目つきに何も言えず、恐れをなして近寄ろうとしない。

みんなただ黙って梨花を見守りながら、彼女が手にしたメガホンで別荘に向かって叫ぶのを見ている。

そして、周囲の大人たちが鳴らす太鼓の音がますます大きくなる。

私は別荘の中でその騒がしい音に頭が痛くなっていた。

親友が手にしていた本を閉じ、「ちょっと外を見に行こうか?」と言った。

私は眉をひそめ、彼女の腕を掴んで引き止めた。

「やめときな。もしあの二人に知られたら、後が怖いよ」

親友は少し迷ったが、結局また本を手に取って読み始めた。

あの一夜以来、私たちは勉強に集中するようにし、彼らの養育契約を断っていた。

しかし、それが彼らの征服欲に火をつけることになり、私たちは別荘に囚われ、彼らの欲望の対象にされてしまった。

私と親友は、飛び降りたり、自殺したり、火を放ったりと、さまざまな逃走計画を試みたが、すべて失敗に終わった。

前回も外で騒がしい音が聞こえ、好奇心に駆られて窓から外を覗いたことがあった。

それはただの除草機で、近所の警備員が草刈りをしていただけだった。

何の会話も、目線すら交わらせていないのに、次の日の夜、田中家の兄弟は私と親友を連れ出し、人けのない荒野へと車を走らせた。

そこには、血まみれの警備員が枯れ葉の上に倒れていた。

兄弟は何も恐れることなく笑っていた。

「目を開けて、しっかり見ろ!」と凛が私の耳元で囁く。

「詩韻、次にまた他の男を見たら、手足を切られるだけじゃ済まないからね、目もえぐり取られる覚悟をしておけよ!」

尊もまた親友に向かって警告した。

「和遥、約束してくれる?これからは俺だけを見るって」

「彼にこうしたことによって、家族が唯一の働き手を失ったわけで、俺も辛い。でも、和遥が彼を見るから、こうなったんだよ」

その時のことを思い出し、私と親友は声を発することもできなかった。

外では、梨花が苛立った表情で別荘を見つめ、誰も出てこないことに焦り始めた。

彼女は待ちきれず、年配の男性たちに向かって叫んだ。

「このドアをこじ開けて!一人千円ずつあげるから!」

年配の男性たちは既に開ける気満々で、梨花の言葉にさらに意気込みが増した。

高橋優花は振り返り、近所の人々に見られていることを気にして、少し困った様子で梨花の腕を掴んで引き止めた。

「お姉ちゃん、そんなに大胆にして大丈夫?音が大きすぎて、近所に迷惑かけちゃうよ…」

だが、梨花は妹の意図をまるで理解せず、彼女の手を振り払った。

「何を心配してるの?」と言いながら、探偵が撮った写真を優花の目の前に一枚ずつ突きつけた。

「見なさいよ、この女、私とどれだけ似てると思う?そしてもう一人は、まるであなたのような雰囲気を持っている」

「私が仕事で外国に行ってる間に、あなたが撮影に行っている間に、あの二人が代わりを探したってわけよ」

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