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第9話

三か月後。

無事に必要な資料を手に入れた私たちは、いよいよ復讐計画の実行に移ることにした。

まず、尊の私生活がだらしないというスキャンダルが報道され、さらにはファンとの不適切な関係や、以前70歳の老人と駆け落ちしたとされる優花とのベッド写真が、エンタメ記者たちによってネット中に拡散された。

尊のファンたちは次々と失望して彼から離れ、彼の過去の行いも掘り起こされ、彼は完全に「社会的に抹消」された。

田中グループも株価が暴落し、凛が立て直しの手を打つ間もなかった。

同時に、SNSでは「#田中グループの田中凛は血に染まった悪魔だ!#」というタイトルがトレンド入りし、続いて高橋グループの社長である高橋姉妹の父親が録画した動画が流れた。

動画の中で、彼は涙ながらに訴え、カメラを回して壺の中に詰められた高橋家の姉妹に焦点を合わせた。

「田中家の兄弟は私の二人の娘を拉致し、こんなひどい目に遭わせました!」

「法律も命も無視して、どうかこの年寄りを助けてください!」

私と親友は高橋グループの株式を餌にして彼を味方につけ、この動画撮影に協力させた。

凛と尊は大勢の護衛を引き連れて、別荘に駆けつけてきたが、すでに正面の大門の暗証番号を変えてあり、開けることができなかった。

凛は扉を何度も叩きながら大声で叫んだ。

「詩韵、時間がない!早く出てきて一緒に行こう!」

尊も下で声を上げた。

「和遥、早く開けてくれ!」

私と親友は二階の窓を開け、顔を出した。

凛は焦りながら言った。

「会社がもたない!急いで国外に出る必要がある。詩韵、君と和遥を連れて逃げるんだ!」

私はただ笑みを浮かべるだけだった。

尊は驚き、周りを見渡してから兄の手を引いた。

その瞬間、機動隊特警の大勢が彼らを包囲した。

ここに至り、凛は顔を上げて私に問いかけた。

「なぜだ…?」

私は笑いを浮かべたまま、答えなかった。

親友も尊の呼びかけにはまったく応じず、窓を閉めた。

警察に連行されながらも、彼らは最後に尋ねた。

「詩韵/和遥…君は俺僕を愛してるのだろうか?」

田中家の兄弟は、犯した経済犯罪だけでも無期懲役に相当する罪であった。

私と親友は国外に行くことを決めた。

空港のロビーでは、

田中家の兄弟に雇われた弁護士が、慌てて私たちの前に駆け寄ってきた。

「橋本さん、
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