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第6話

熱い涙が落ちてきた。

それを見た彼女の目には一瞬の恐怖がよぎった。

私の頭の中には、彼女の「その死んだ祖母」という言葉がこだましていた。

限りない痛みが息苦しさとともに押し寄せてくる。

「なんでそんなことを言うの?」

私は彼女に向かって叫び、手を振り上げて彼女の顔を叩こうとした。

次の瞬間、私の手首は強く掴まれ、そのまま床に激しく押し倒された。

手のひらが割れたガラスに触れ、鋭い痛みが走った。

私は痛みをこらえて後ろを振り返ると、潤一が焦った様子で玲奈を抱きしめているのが見えた。

彼の眉間には心配そうな皺が寄り、彼女に優しく話しかけているようだった。

残念ながら、私は補聴器を失ってしまったので、彼が彼女にどうやって優しく慰めているのかは聞こえなかった。

しばらくして、彼は私を見た。

その目には、以前のような優しさはなく、冷たさと嫌悪だけが残っていた。

私の顔に血が滲んでいるのを見ると、彼は一瞬驚いた様子を見せた。

しかし、彼はすぐに口を開いたが、何を言っているのかは聞こえなかった。

もしかしたら、私が玲奈をこんな風に扱ったことを責めているのかもしれない。

あるいは、もっと冷静になって、そんな無茶をしないようにと言っているのかもしれない。

その時、ふと思い出したのは、あの冬の日のことだった。

一緒に箱を運んでいた時、私が手を切ってしまった。

ほんの小さな傷だったが、潤一はとても心配して、私を休ませようとした。

彼は私に焼き芋を買ってきて、まるで子供に言い聞かせるように言った。

「焼き芋を大人しく食べててね。僕が運び終わったら、一緒に帰ろう!」

当時の彼は、今ほどたくましくはなかった。

しかし、今のその強い腕で、彼は私を容赦なく地面に押し倒したのだ。

考えを巡らせながら、私は次第に不思議なほど落ち着いてきた。

静かに涙を拭い、手の血が顔の血と混ざった。

私は再び立ち上がり、散らばったメモ帳の切れ端を拾い上げた。

血がその上に染み込み、歪んだ文字をにじませた。

震える手でそっとそれを拭ったが、さらに血が付着してしまった。

かすかに見えた文字には、こう書かれていた。

「美咲、ずっと無事でね。ばあちゃんはあなたを愛している」

これは、決してただのボロボロのノートではない。

涙が突然こぼれ落ち、全身が痛み始めた。

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