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第12話

 「私が来なければ、お前が家に男を連れ込んでいるのに気づけなかっただろ!」

 中年男が冷たく叱った。

 「男を連れ込むって何ですか!

 その言い方はひどすぎます!

 真一はただの友達で、彼との間には何もありません!」

 和子は不機嫌そうな顔をした。

 「二人があんなことをしておいて、何もないと言えるの?

 本当に笑えるわ!

 和子、真っ昼間にちょっと恥を知りなさい。二人とも庭でやればいいのに!」

 派手な女が皮肉っぽく笑った。

 「あなたに何の関係があるの?

 私がどうしようが、あなたには関係ないわ!」

 和子は睨みつけ、一触即発の雰囲気が漂い始めた。

 「健一、見てよ!

 なんて生意気な子なの!」

 派手な女は男の腕にしがみつき、わざとらしい顔をした。

 「和子、どうしたんだ?

 美咲はお前の母親だぞ、どうしてそんな態度を取るんだ!」

 林健一が叱りつけた。

 「彼女は私の母親ではありません!

 私の母は二十年前に亡くなりました!

 彼女はただの愛人から成り上がった狐女に過ぎません。母親のふりをする資格なんてありません!」

 和子は冷笑した。

 「健一、聞いたでしょ、彼女は私を狐女って……」

 白石美咲(しらいし みさき)が泣きながら言った。

 「無礼者!

 反逆するつもりか!」

 健一は激怒し、手を上げて和子を殴ろうとした。

 「やれば!

 どうせ母が亡くなってから、家で私のことを本気で心配してくれるのはおじいちゃんだけでした!

 いっそのこと私を殺してしまえばいいわ!」

 和子は頑固な顔をして、一歩も引かなかった。

 「お前……」

 林健一は怒りで体を震わせた。この数年、彼は美咲と息子にばかり気をかけていた。

 娘には確かに冷たかった、最終的には手を引っ込めた。

 「和子、お前もそろそろ結婚を考える年頃だ。彼氏を作ることには反対しない!

 だが、我が林家の家柄を考えれば、せめて相手も相応の家柄の者を選ぶべきだろう。」

 健一は怒りを抑え、真一を指差して軽蔑した表情で言った「この男をよく見てみろ。身なりはボロボロで乞食のようだ。どこが君にふさわしいというのか?」

 「さっきも言ったように、真一は私の友達であって、彼氏ではありません!

 それに彼は乞食なんかじゃないです!」

 和子は非常に不満そうだった。

 「二人はすでに同棲しているんだぞ。彼氏じゃなければ何だというのだ?

 私とあなたの父親に騙せると思っているのか!」

 美咲は嘲笑し、軽蔑と不信を込めた視線を送った。「和子、これまでずっと偽善を装ってきたけど、外では清純な淑女として知られてるってさ。思ったよりプライベートは乱れてるのね。

 こんな男に目をつけるなんて、本当に品がないわね!」

 これを聞いて、和子はかえって怒りを覚え、あらゆることを口に出してしまった。

 「あなた……

 そうよ、真一は私の彼氏。彼が好きなの!

 あなたたちとは関係ないわ!」

 美咲の嘲笑に直面して、和子は怒りと恥ずかしさで立腹し、思い切って真一の腕を引いて、親密な様子を見せた。

 真一は呆然として、和子を見つめ、言葉を失った。

 「なんだと!やっと認めたのね!」

 美咲は冷笑した。

 健一の顔は青くなった。小切手を取り出し、さっと数を書き込み、真一の顔に投げつけた。「お前が誰であろうと、どこから来たのかは関係ない!

 とにかく、和子と付き合うことには絶対に反対だ!

 ここに一億ある。これを持ってすぐに娘の前から消えろ!

 それと、お前がまた彼女に絡んだら、お前を地の果てまで追い詰めるぞ!」

 真一は床に落ちた小切手を見つめ、唾を飲み込んだ。

 彼は今まさにお金に困っていて、一億は彼にとって夢のような金額だった。

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