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第260話

今はただRFの資金が入金されるのを待っているだけで、その後オフィスを借りることができる。

山田時雄も藤原家が私に鹿兒島でオフィスを借りさせないように情報をを知っていたのか、少し驚いて言った。「借りられたのか?」

「うん」

私は頷いた。「オーナーが海外にいるらしい。だから藤原家のことを気にしないでしょう? 遠いから、そんなに気にする必要もないし」

「それならいい」

山田時雄は頷きながら、慎重に私の傷を消毒し、薬を塗り始めた。そして緊張した声で尋ねた。「痛いだろう?」

「まあまあかな」

私は心の底から沸き上がる痛みをこらえながら、自分に何度も言い聞かせた。

これからは、誰に対しても心を許してはならないと。

この世界は、常に強者が弱者を支配して、善意には善意で報いることなどないのだから。

......

翌日、河崎来依が朝早く私の家にやって来た。

彼女はドアを開け、私がすでに起きているのを見て驚いた。「怪我してるのに、なんで少しでも多く寝ないの?」

私は手にしていたファッション雑誌を置いて、聞いた。「先輩が話したの?」

「うん、先輩が昨夜メッセージを送ってきた」

河崎来依はスーパーで買ったものをテーブルに置き、悔しそうに言った。「ごめん、私、飲みに行って、朝起きてからやっとスマホを見たの」

「大丈夫、私は何もなかったから」

「本当に何もないかどうか、見てみなきゃ分からないわよ」

河崎来依は大股で私に近づき、家着を引っ張り上げ、頭から足まで確認した後、怒りで目を赤くしながら言った。「これが何もないって? もうひどいわよ、 誰の仕業だ?」

「藤原星華だ」

私はまだ痛む手首を持ち上げて、彼女の頭を軽く撫でながらはっきりと伝えた。「来依、彼女はしばらくの間、鹿兒島から離れないだろう。私たちが会社を立ち上げる道は、おそらく険しいものになる」

「彼女のところに行ってやるわ!」

河崎来依は私の言葉の後半を全く聞かず、立ち上がってすぐに出て行こうとした。

私は彼女を呼び止めた。「彼女を探してどうするの? ただ彼女を一発殴ったところで、来依や私に良い結果が得られると思う?」

「じゃあどうするのよ?!南がただ痛い思いをするだけなの?」

河崎来依はいつものように何もかもを投げ出す覚悟で言った。「彼女のような金持ちのお嬢様の命を代償にするの、悪くな
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