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第267話

私と河崎来依は色々考えたが、誰がこんな善行をするのか、結局わからなかった。

「もういい、深く考えるのはやめよう。商売を始めたばかりなんだから、注文があるのは良いことだ」

河崎来依は楽観的で、そう言いながら伸びをした。「すぐに面接に来る人がいるから、準備して一緒に面接に行く?」

「いいよ」

私は答えた。

新しい会社を立ち上げたばかりで、やることが山積みだった。今は私と河崎来依の二人だけで、24時間働いても終わらないほどだった。

社員を採用することが急務だった。

面接では、河崎来依が質問を担当し、私は観察するだけで、後で一緒に決定する形式になった。

最初の数人は、どれも悪くはないと思ったが、特別に良いとも言い難かった。

そんな中、ある女性がドアを開けて入ってきた。彼女は軽くお辞儀をして、おとなしく座り、自分を紹介した。「こんにちは、服部花と申します......」

彼女の純粋な様子を見て、どこかで見たことがある気がした。

彼女が話すとき、ちらちらと私の方を見ていて、潤んだ瞳がキラキラと輝いていた。

河崎来依はおかしそうに見て、尋ねた。「うちの清水社長を知ってるの?それとも、彼女があまりにも綺麗だから見とれてるの?」

「清水社長......」

彼女は少し恥ずかしそうに笑い、慎重に尋ねた。「マサキのコンサートに行ったこと、ありますか?」

その質問に、私はすぐに思い出した!

私が嬉しそうに微笑んだ。「ああ、あなたでしたか!」

コンサート会場の外で、江川宏を待っていた私を手伝ってくれた女の子だった。

彼女も勢いよく立ち上がり、瞳を月のように細めて、首を振るように頷いた。「はい、そうです、お姉さん、私です!」

「これは......」

河崎来依は好奇心を抑えきれずに言った。「どこで拾ってきたの、その可愛い妹?」

私が説明する前に、服部花は河崎来依に嬉しそうに話しかけた。「この前のマサキのコンサートで、私、チケットを持ってなかったんですけど、お姉さんと彼女の友達が余ったチケットを私にくれたんです!」

「それは彼女らしいことですね」

河崎来依はそうコメントし、彼女がまた話し出すのを遮って言った。「履歴書によると、デザイン部長の助手に応募したんだね?」

私が今担当しているのは主にデザインの仕事で、助手もデザインに詳しい人が必要だったので、募集
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