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第249話

電話を切った後、河崎来依はずっと私をこそこそと見ていた。

「どうしたの?」

「ねえ、莉奈姉さんが紹介してくれる投資家って、まさか元旦那じゃないよね?」

「ありえないと思うけど」

私は頭を振りながら、ちょっと不安になりつつも、言った。「江川宏は退院したばかりで、この数日間、彼も加藤伸二もこの話題を出してないから」

「それなら誰なの?」

河崎来依は疑問に思った。

私も分からなかった。「とにかくディナーに行ってみて、鹿兒島はそんなに大きくないから、もし知り合いなら隠せないだろう」

「確かに」

河崎来依も同意した。

しばらくして、私は別の服に着替え、ベージュのコートを羽織って、河崎来依と一緒にディナーの場所に向かった。

レストランは河崎来依が予約したもので、彼女は市場部で長年働いており、接待にはかなりの経験があった。

レストランに到着し、ウェイターに案内されて個室に入った。

個室は川沿いにあり、テーブルに座って下を見下ろすと、灯りがともる川の景色が広がっていた。環境は静かで上品で、料理も本場の鹿兒島料理だった。

莉奈姉さんはすでに到着していた。

莉奈姉さんは親しげに私たちを迎え入れ、河崎来依に自然に尋ねた。「今日のくる方とよく知り合いだったの?こっちは大きなプロジェクトがあって、ぜひそのグループと協力したいの。後で何とか言ってくれね」

河崎来依は直に尋ねた。「莉奈姉さん、江川グループなのか?」

「江川?」

莉奈姉さんは眉をひそめて、河崎来依を一瞥した。「あなたはバカなの?あなたと清水さんは江川から退職したばかりじゃない。江川が新ブランドを支援して、自社のF&Aと競争する気になるわけがないでしょ」

やっぱり江川グループではなかった。

それなら江川宏ではなった。

私は少し安心し、もし彼が来るなら拒否するしかなかったから。

こうなるとまた投資の機会を逃したことになった。

「考えすぎだったね」

河崎来依は私と江川宏の事情を持ち出すことはなかったが、眉をひそめながらも尋ねた。「それで、どの会社なの?」

莉奈姉さんは直に答えた。「先月、ニューヨーク証券取引所に上場したRFグループだ。聞いたことあるでしょ?」

「RF?」

河崎来依は驚いた様子で言った。「あのニューヨークで短期間で巨大な財団に成長したRFグループ?」

彼女が言うと、私
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