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第250話

私たち三人が到着すると、彼は礼儀正しく軽くお辞儀をして言った。「すみません、鹿兒島の夕方の混雑を見くびっていました」

「大丈夫です。来ていただけただけでもありがたいです」

莉奈姉さんは立ち上がり、私と河崎来依を紹介した。「こちらがRFグループの副社長、山名佐助さんです」

最初は、地位が高いので多少の横柄さがあるかと思ったが、彼は非常にフレンドリーだった。

それになんと、私たちのグラスにお酒を注いでくれた。

その姿を見て、私と河崎来依は少し戸惑った。山名佐助は杯を置き、仕事の話に戻した。「投資には問題ありませんが、RFの持分は少なくとも51%にしなければなりません。その点については心の準備ができていますか?」

「はい」

私は頷いた。

以前、いくつかの投資事例を調べたことがあり、最終的に創業者が持つ株はあまり多くないことがわかっていた。

まあ、自分は資金がないから、仕方なかった。

河崎来依は交渉が得意で、笑いながら言った。「山名さん、鹿兒島の人間として、私たちに少しは配慮していただけませんか?」

「河崎さん、冗談を言わないで」

山名佐助は話が上手で、仕事の話をする際は年齢と違ったほど落ち着いていた。

「私たちは全額出資しますが、持分は51%です。ただし、将来南希がどれだけ成長しても、他の投資者を迎える際にはRFの承認が必要です」

51%。

私が想像していたよりも少ない数字だった。

ただし、この数字は微妙で、私たちの発言権と決定権を奪うのに十分だった。

河崎来依もその点を考えた。「それでは、普段の会社の管理や決定は…」

「私たちは介入しません」

山名佐助は約束した。

この言葉で、私たちは安心した。

株と決定権の二つの最も重要な点が決まったので、残りは簡単に進めることができた。

すべてが予想を超えて順調に進んで、家に帰ってRFからの契約書を待つだけだった。

帰りの車の中で、代行運転手が運転している間、河崎来依は私の肩に寄りかかって言った。「私たち、運が良かったのかな?」

「かもしれないね」

そう言ったが、私は何かがおかしいと感じた。

レストランでの一部のシーンを振り返り、突然どこがおかしいかをわかった。

山名佐助って、ちょっと見覚えがあるような気がした。

でも、どこで見たか思い出せなかった。

河崎来依がそれを聞いて、
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