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第2話

その後、私は忙しくなった。

 陽翔と話す回数も減っていった。

 最初は少し不安だったけど、店のお客さんは皆マナーがよく、アダルトグッズの店で働くことは私が想像していたほど危険ではなかった。

 お客さんが商品を購入し、私は推薦して精算を行う。

 お互いに必要なものを手に入れ、役割を分担していた。

 ただ、店に来るのは男性ばかりで、女性はほとんどいなかった。

 女性に需要がないわけではない。

 ただ男性に比べて、女性の世界には余計な枠が多すぎる。

 陽翔の目のクマを見て、私はさらに一生懸命働き、彼をもっと大切にしていた。

 彼が誕生日を祝うことはない。お金を稼ぐためだ。

 でも私は彼にサプライズを用意したいと思った。

 誕生日の夜、たまたま休暇を取っていた。

 休む暇もなく、私は重たいクマのぬいぐるみの衣装を着て、サプライズを準備した。

 バッグの中には、私の気持ちを込めた一番小さいサイズのケーキが入っていた。

 二人で分けても十分だろう。

 私は彼が働いているカラオケ店の前に行き、邪魔をしないように電話して外に出てもらった。

 夏の夜、風はまったくなく、ぬいぐるみの衣装の中は汗でびしょ濡れだった。

 心臓がドキドキし、彼を愛する気持ちで体が満たされていた。

 私は待ち続けた。

 彼がやってきた。仕事服は乱れていて、顔は少し赤く、酔っている様子だった。

 私は気にせず、ぬいぐるみの衣装を着てダンスを踊った。

 それから、小さなバッグを外して彼に渡した。

 「誕生日おめでとう!この間は本当にお疲れさま!」

 私の声を聞いて、彼は一瞬驚いた。

 私の頭に被っていたものを外し、汗でびしょ濡れの私の姿を見て、彼は私を抱きしめた。

 「なんでこんなにバカなことをするんだ?家で待っててって言っただろ?」

 「邪魔したくないけど、今日は特に会いたかったの」

 薄暗い路地で、陽翔は小さなケーキの中から銀の指輪を見つけた。

 私は彼の白いシャツに赤い痕がついているのを見て、彼の反応に気づかなかった。

 ケーキの味があまり甘く感じられなかった。

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