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第9話

門を出ると、すぐに陽翔の連絡先を全てブロックした。

クズ男からの解放、これは本当にお祝いものだ。

しかも今まででそこそこ貯金もできた。

だから今日は友達たちを誘ってバーで思いっきり盛り上がることにした。

友人たちは私の体験談を聞いて大喜びし、早速ホストを奢ってくれた。

金持ちの楽しさって、こんなにも楽しいものだったなんて!

感情抜きでただお酒を飲んで、ただ楽しい時間を過ごす。

賑やかな雰囲気に包まれて、以前のようにただ待つだけの自分じゃない自分を感じた。

心から楽しむ自分を感じながら、ふと頭に浮かんだのは、女性客が少ないアダルトグッズ店のこと。

ある考えが浮かんで、広がっていく。

制限される女性たち、いまだに社会の枠組みから抜け出せない人たちはどれほどいるのだろう?

言えない女性の合理的なニーズ、ミスティックなブルーオーシャンが、私を未知の世界に惹き込むようだった。

考えにふけっていると、ふと足に異様な感触がした。

半分禿げた男が酒臭い息を吐きかけ、私の足に手を伸ばしてきた。

友人たちもいるし、場を壊したくなかったので、笑って数度かわしたが、男はついに酒瓶を叩きつけた。

「お前みたいな女は顔を立てろ。俺が相手してやるだけありがたく思え。女がバーに来るのなんて、触られたくて来てんだろ?」

我慢できない私は、男のハゲ頭に酒瓶をもう一本叩きつけるつもりでしゃがんで瓶を選んだ。

だが、立ち上がる前に、誰かがそのハゲ男を何発か殴り倒して、血まみれの鼻で地面に転がしていた。

思わず、パンチを入れている男性の顔を見上げると、なんだか見覚えがあった。
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