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第12話

震える手を伸ばしかけたが、途中で止まった。

係員たちはひそひそと話し合い、既にサンプルが入った箱を見つけていた。

消えてしまいたい。むしろ、ここで死んでしまった方がマシかもしれない。

背後では、春介が小声で心配してくれているのが聞こえたが、私は一言も発せなかった。

絶望の中、グッズが一つ一つ取り出され、パッケージが開かれ、さらに中のサンプルとリチウム電池までもが取り出されていくのを、私はただ見つめるしかなかった。

すると、後ろにいた春介が突然黙り、周りの乗客も何とも言えない沈黙に包まれた。

やっと空港の係員が、この場に慣れているようで、重苦しい空気を破ってくれた。

「お客様、規則によりリチウム電池は預け荷物に入れられません。お手数ですが手荷物に移して再度検査を受けていただけますか」

「…笑いをこらえてません?」

「いえ、私たちは専門のトレーニングを受けていますので、基本的には笑いません。どうしても我慢できない場合を除いて」

係員が必死に笑いをこらえているのが目に見えて、私は急いでサンプルを手荷物に入れた。

手荷物検査をもう一度通れば、今度こそ大丈夫…

顔が赤くなっているのを感じながら、自分を励ました。

もうこれ以上の恥はかけない。これで終わりだ。

と思っていたが、甘かった。

「手荷物検査」も問題が起こった。

手荷物の検査で、また係員たちが画面を見ながら小声で話していた。

「お客様、もう一度お荷物を開けていただけますか?」

気まずい気持ちを抑え、平静を装って手を動かし、リチウム電池を取り出した。

「お客様、すみませんが、その突起した物もすべて確認させていただきたいのですが」

頭が真っ白で、手が動かない。

係員が催促する中、隣にいる春介がさっと手を伸ばし、私の荷物を受け取ってくれた。

彼は私をそっと守るようにして立ち、私を抱きかかえてくれた。

平静を装いながら、バッグの中のおもちゃを取り出した。

「このバッグは私のです。私たち一緒です」

そう言ったのは、春介だった。

係員はまだ状況を飲み込めずに尋ねた。「これは何ですか?」

「これは…」春介は言葉に詰まり、彼の顔も今にも爆発しそうなくらい赤くなっていた。

そこで私は悟り、こう言った。

「これ、ナイトライトです!光るんですよ!今お見せしますね!」

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