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第13話

この気まずい旅は、私が彼に名刺を差し出したことで一旦終わりを迎えた。

その後、私たちは時々連絡を取り合うようになり、彼には母親がお見合いを勧めている話を打ち明けた。彼は私もと言った。

なぜか、私たちの間には何かが隔たっているような気がして、互いに心を開けていない感じがしていた。

そんなある日、避けて通れないお見合いの場で、三十代の公務員と会うことになった。

カフェで向かい合って座った彼は、延々と話し続けた。

「家庭環境もあまり良くなく、仕事も少し特別だけど、結婚後は家庭に専念して家事をすれば、僕も受け入れることができるよ」

彼が手を伸ばして私と握手したがった。私は素早く避け、説明しようとしたところに、元彼の陽翔がなんと車で現れ、やたらと派手に仲直りを求めてきた。

「隠していた俺が悪かった。でも君も言いすぎだよ。家族を説得するから、もう機嫌を直してくれ。7年の付き合いなんだ、君だって俺を忘れられないはずだ」

冗談じゃない!数日前に萌音と話したことを思い出した。

「まだ陽翔と付き合ってるの?私の経験から言ってやめたほうがいいと思うよ」

「家同士の都合だよ、私は彼に感情なんてないから」

萌音が近づいてきて、声を潜めて言った。

「ねえ、彼ってあんまり…そうじゃないの?」

私は微妙に笑いながら、「まあ、うちでも男性向けの商品あるし、必要なら教えてあげて」

「聞いてみて、ついでに軽くからかってみたら?」

「彼との関係が全然理解できない、複雑すぎるよ」

「お互い明確に利益だけの関係だって割り切れば、複雑じゃなくなるわ」

初対面で気が合い、それから私は彼女と友人になり、しょっちゅう話すようになった。

彼女がいくつかの顧客も紹介してくれた。

二人の男は気まずかったが、私はそろそろこの場を離れることにした。

「ごゆっくり、私はこれで失礼します。会社でオンライン会議があるので」

バッグからポルシェの車の鍵を取り出した。

飛行機に乗らないと決めてから車が必要になり、思い切って買ったばかりだった。

ついでに陽翔に名刺を渡し、言った。

「萌音さん、先日相談に来たの。もし購入するなら割引するから」

「あなたとはもうご縁がないけど、健康には気をつけてね」

名刺にはこう印刷されていた。愛光株式会社 代表取締役 加藤心美

愛光、女性向けアダルトグッ
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