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第15話

おばさんは電話で話していた時と変わらず、力強く、笑顔にあふれていた。

彼女はカフェで新しい味のコーヒーとデザートを試しながら、満足そうに笑っている。

「心美ちゃん、もうすぐ息子が迎えに来るの。彼と少し話してみてくれる?」

「でも私は女性の心理カウンセリングしか担当していませんし、男性問題は専門外ですよ」

「大丈夫よ、相談じゃなくて、お見合い。もし無理そうならすぐ追い返すから」

生活を取り戻した彼女の率直な様子に私は断ることもできず、まあもう一人くらい見合い相手が増えても慣れていると覚悟した。

彼女と今後のキャンピングカー旅行について話し笑っていると、店の入り口に見覚えのある姿が入ってきた。

「心美?」

「春介?」

私たちは同時に驚きの声を上げた。

おばさんだけがまるで計画が成功したかのように笑っている。

「この子ったら、ずっと名刺を見つめてぼんやりしてたから、名前を検索してみたの。偶然も偶然、見つけちゃったわ!」

おばさんは電話を受けながら車の調整に向かい、残された私と春介はお互いに目を見合わせた。

私は空港でのあの気まずい場面について説明し、今の自分の仕事について話し始めた。

話が進むうちに、少しずつお互いの心が開かれていった。

「高校の頃の夢が叶って、今は脳神経外科医になった。でも、そんなに楽しいわけじゃないんだ」

彼も徐々に心を開き、仕事での話してくれた。

「実は、仕事の後に付き合った女性がいて…彼女は事故で頭に重傷を負ったんだ。僕が主治医だったんだけど、手術で助けられなかったんだ」

「それから、手術に対する自信がなくなってしまって、手術台に立てなくなってしまった」

「バーで偶然心美ちゃんと会った後、ずっと自分を立て直そうとしているけれど、まだ完全には乗り越えられていないんだ」

「焦らなくてもいいわ。人生って、必要な時にちゃんと必要なものを与えてくれるんだから」

さらに話を続けようとしたその時、またも見覚えのある、そして気まずい空気を感じる人物が近づいてきた。

陽翔だった。

良くない予感がした。
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