第66話

「離婚協議書について、もう一度話し合いたい。書斎に来てくれ。」

「わかった。」

由佳はタオルを戻し、山口清次について書斎に向かい、ドアを閉めた。

山口清次は離婚協議書の電子版の正本を開き、いくつの条項を追加した後、由佳に位置を譲って「新しい内容を見て」と言った。

由佳は机に手をついて前傾し、赤字で表示された数行を見た。

第一条は、離婚した後も一緒に住む必要があるというものだった。離婚届を取得した後も、星河湾別荘に住む必要があった。

女性は男性の家族に離婚を隠し、必要な時には夫婦のふりをしながら、離婚を知られるまで続けないといけなかった。

第二条は、外で二人が結婚と離婚の話をしないこと。

第三条は、星河湾別荘に一緒に住んでいる間は、他の男女を連れてくることはできないとのことだった。

また、財産分割の部分にも変更があった。

以前は由佳に4億円と二つの別荘、二台の高級車が分配される予定だったが、現在は10億円と二つの別荘、二台の高級車の予定になっていた。

由佳は新しい条項を詳しく確認した。「第一条について異議があります。協議書には私たちが星河湾別荘に住み続けると書かれています。祖父母が離婚を知らなければずっと住み続けることになりますよね？それでは、あなたは歩美と一緒に生活することができず、離婚の意味がなくなります。」

「時間制限を設けましょう。」

由佳は時間を計算し、「二ヶ月。離婚後二ヶ月以内に祖父母に知らせること。その後は自由に他の場所に移り住み、別れる。」と言った。

それ以上の時間が経つと、妊娠のことがばれてしまうからだ。

山口清次は一瞬暗い表情をして、「いいだろう」と答えた。

二ヶ月の期限を設けたのは、早くここを離れたいからだった。

彼女は自分を憎んでいるのだろうか？

由佳は財産分割の部分を指差し、「元のままでいいわ。そんなに多くは必要ない。」

「約束したことだ。」

由佳もそれ以上は言わず、早く離婚協議書を確定させることに集中した。

二人が確認した後、山口清次は離婚協議書を二部印刷した。

二人は順番に離婚協議書に署名した。

それぞれが一部ずつ持つことになった。

「これで終わり。」由佳は素早く署名し、未練もなく、自分の一部を持って、「何もなければ、先に帰るわ。月曜日に離婚届を忘れないで。」と言った。

「うん。」山口清次