第71話

「私も同じ考えです。既にホットトピックを抑えるよう手配していますので、歩美には影響はありません」

「山口さんが言ったことを守ってくれたいです。スターエンターテインメントの件を覚えていますよね。あなたがその件を明らかにしなくても、誰かがそうにすることになります」

山口清次は菜奈の言葉を理解した。「私が処理します」

彼と由佳が結婚していることを知っているのはごく少数の人で、由佳のために弁護できるのは、祖父母だけだった。

「ありがとうございます、山口さん。歩美を見に来てください。彼女は今とても不安です」

「わかりました。」

電話を切った後、山口清次は再び林に電話をかけ、この件の動きを常に注意し、説明のニュースが出ないように指示した。

事態が終わったら、彼自身が祖父母に説明するつもりだった。

山口清次は由佳の携帯を返そうと彼女の部屋に向かったが、途中で何かを思い出し、携帯をポケットに戻した。

リビングに降りると、家政婦に「ニュースのことは由佳に知らせないで」と言った。

ネット上の出来事は虚構であり、人々は一時的に怒りを発散するだけで、数日後には収まるものだ。

家政婦はためらった。「もし奥様が自分でニュースを見たらどうしますか？」

「それは心配しないで。ただ、彼女に黙っていてくれればいい」

家政婦は仕方なく頷いた。

山口清次はその後、歩美に会いにいった。

由佳は目を覚ますと、無意識に枕元に手を伸ばし、携帯を探したが、何もなかった。

彼女は目を開けて、伸びをして、体を起こしてから、再び枕元で携帯を探したが、見つからなかった。

由佳は額に手を当て、昨夜の出来事を思い出した。

彼女は山口清次を迎えに行くとき、携帯を持っていたが、帰宅後はそのまま新しい客室で寝てしまった。

携帯は元の部屋にあるはずだと考え、由佳は起きて洗面し、着替えて、自分の部屋に向かった。

部屋には誰もいなかった。山口清次が起きてからどれくらい経ったのかはわからなかった。ベッドは冷たくなっていた。

由佳はベッドの周り、机の上、部屋の隅々を探したが、携帯を見つかけなかった。掛布団まで二度もめくって探した。

頭を揉みながら、部屋になければ車の中か、包厢に忘れたかもしれないと考えた。

由佳は再び車の中を探したが、見つからなかった。

それならば、携帯を山口清次を迎えに行った時