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第185話

そして成績も優秀であった。

 今回、彼女は再び山口清次との距離を感じた。

 彼に追いつくために、彼女は彼と同じ経営管理学院のマーケティングを選び、一生懸命努力して成績を上位に保っていた。

 しかし、彼はそれを難なくこなしていた。

 彼女が大学に入学した年、彼はすでに卒業していたが、彼の伝説は学校内に今も残っていた。学校には、名誉卒業生のリストがあり、彼の名前は20番目にあった。彼より上位には、みな50歳を超えた院士や教授が名を連ねており、それぞれの分野で高い威望と多大な貢献を持っていた。

 「何を考えているの?」と山口清次が尋ねた。

 「何でもないわ……」由佳は首を横に振った。

 山口清次はその話題を深掘りせず、他の話に移った。

 「明日の夜、パーティーがあるんだ。一緒に来るか?」と山口清次が尋ねた。

 由佳は沈黙した。この数年間、彼女はパーティーにほとんど参加していなかった。一つは仕事が忙しすぎるからであり、もう一つは、彼女のことを好ましく思っていない人たちが多かったからだ。彼女もまた、そのような人と関わるのが好きではなかった。

 心の奥底では、彼女は自分のことを今でも普通の女の子だと思っていた。

 彼女は前回のディナーパーティーを思い出した。

 パーティーは豪華絢爛だったが、彼女の印象には冷たいプールの水と、加波歩美に贈られたブレスレットだけが残っていた。

 由佳は自ら口を開いた。「秘書に代わりに行ってもらって。」

 彼の目が由佳の顔に落ち、ゆっくりと口を開いた。「じゃあ、僕も行かないで、由佳ちゃんと一緒にいるよ」

「だめよ」

「どうしてだめなんだ?大丈夫、そんなに大事なパーティーじゃないから」

 彼がそう言うと、由佳は眉をひそめ、何も言わなかった。家に帰ると、由佳は書斎で夜11時まで忙しくしてから、主寝室に戻り、顔を洗った。

 彼女がバスルームのドアを開けて中に入ろうとしたとき、突然、動きが止まった。

 バスルームには人がいた。それはもちろん山口清次だった。

 普段なら彼は夜11時半まで残業しているのが常だったので、由佳は彼がこんなにも早く書斎から出てくるとは思っていなかった。

 山口清次はちょうどシャワーを浴び終えたばかりのようで、腰に一枚のバスタオルを巻いているだけだった。バスタオルの下に何を着ているかはわからな
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