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第184話

「今日は撮影が終わったの?」

 「さっき終わって、もうホテルに戻ってるよ」

 「歩美ちゃん、父さんは聞きたいことがあるんだ。山口清次は今、歩美ちゃんにどう接している?仲はどうなんだ?彼が結婚の話をしたことはあるか?」

 電話の向こうで、しばらく沈黙が続いた。

 加波直歩は歩美ちゃんの反応を見て、表情を厳しくした。

 どうやら、歩美ちゃんと山口清次の間には確かに危機が訪れているようだ。

 加波靖真は心配そうな顔をしていたが、内心では密かに安心していた。もし二人の関係が悪化していれば、加波直歩が株を要求する余裕はなくなるからだ。

 加波靖真は、歩美ちゃんと山口清次の関係が近づけば近づくほど、加波直歩が自信を持つようになることを知っていた。もし二人が結婚でもすれば、加波直歩とその娘は山口清次の後ろ盾を得て、会社を自分たちのものにしてしまうかもしれない。

 加波靖真はそんな事態を望んでいなかった。本来、その株は自分のものなのだから。

 「父さん、どうして急にそんなことを聞くの?」歩美ちゃんが言った。

 「本当のことを話して。二人の間に何があったんだ?実はな、今日、歩美ちゃんのおじさんが会員制クラブで山口清次と由佳に会ったんだ」

 「……」

 「私は歩美ちゃんの伯父さんだよ。何があっても正直に話して。歩美ちゃんのことは私たちが守る。山口清次との間に何か問題があるなら、正直に教えて。我々は家族だ。歩美ちゃんが幸せなら、私たちも幸せなんだ」加波靖真が言った。

 「伯父さん、父さん、」歩美ちゃんは悲しげに言った。「清くんが私と別れたいと言ってるの」

 「別れる?そんなことありえない、山口社長は歩美ちゃんを愛してるんだ。そんな簡単に別れるわけがない。彼を怒らせたのか?」と加波直歩が驚いて言った。

 歩美ちゃんは泣きながら、「父さん、私もそんなことがあり得るとは思わなかった。でも、私と清くんは喧嘩をしたの。彼は、私と別れて由佳と一緒になるって言ってるの。私たちは長い間離れていて、関係は元々それほど強くはなかった。全部、由佳のせい。彼女が隙をついて清くんを誘惑したの!父さん、伯父さん、お願い、何とかして!」と言った。

 「まずは泣くのをやめて、何があったのか詳しく教えて。私たちが何とかするから」

 「うん、実は……」歩美ちゃんは9月2
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