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第188話

夕食が終わった後、皆はカラオケへ移動した。

 社員たちは皆出発したが、山口清次はまだ席に座ったままだった。

 大田彩夏は微笑んで「山口社長、どうして動かないんですか?」と言い、山口清次が何も言わないので、さらに続けて「私が予約したケーキがカラオケにありますので、山口社長もぜひ誕生日ケーキを召し上がってください」と言った。

 副総監督も「山口社長、カラオケはすぐ隣ですし、ちょっと座るだけでそんなに時間はかかりませんよ」と勧めた。

 「わかった、行こう」山口清次は椅子の背にかけてあったジャケットを取り上げた。

 副総監督はすぐにそれを受け取った。

 カラオケの個室に到着すると、既に誰かが曲を選び始めていた。

 山口清次は部屋の隅に腰を下ろし、襟元を少し緩めた。

 左腕をソファの肘掛けに置き、眉間に軽く皺を寄せた。

 なぜか、少し頭が痛くてくらくらする。

「山口社長、体調が悪いんですか?お水をどうぞ。」大田彩夏は山口清次の様子を見て、使い捨てカップに白湯を注ぎ彼の前に置いた。

 「ありがとう」山口清次は眼鏡を上げ、大田彩夏をひと目見た。

 大田彩夏は山口清次に微笑みかけた。

 山口清次は水を一口飲んだ。

 大田彩夏は彼のことが好きなのだろうか?

 そんな気もするし、しないような気もする。

 今夜、彼女は非常に気が利いているが、行き過ぎることはしない。

 部屋の中では誰かが歌を歌っていた。

 数曲後、副総監督が「山口社長、一曲いかがですか?」と尋ねた。

「君たちが歌いなさい」山口清次は手を振った。

 副総監督はそれ以上問い詰めなかった。

 山口清次がここに来ただけでも、十分な厚意だった。

 山口清次は襟元のボタンを二つ外し、鎖骨が見えるようになった。

 彼は立ち上がり、外に出ようとした。

「山口社長!」大田彩夏は彼が帰るのかと思った。

 山口清次は大田彩夏の表情をじっと見つめ、「外に行く。この部屋は少し窮屈だ」と言った。

 大田彩夏は気まずそうな表情を浮かべた。

 その時、カラオケのスタッフがケーキを持ってきた。

 大田彩夏はケーキを切りに行った。

 山口清次は廊下の端までゆっくりと歩き、由佳にメッセージを送った。

 外で少し立っていたが、山口清次はまだ少し暑さを感じていた。

 部屋に戻ると、ケーキはすでに切り
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