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第196話

11時、山口清次が外から帰り、二人は家で昼食をとった。

運転手が二人を空港まで送り、秘書たちは既に空港で待機していた。

今回の出張で山口清次は4人の秘書を連れて行った。

林特別補佐員を除く3人は彼らの関係を知らなかったが、林特別補佐員が事前に伝えていたのか、他の3人は由佳に驚く様子もなく、平然と挨拶をしてきた。まるで由佳も出張に行く人のように見えた。

チェックインを済ませた後、皆はVIPラウンジで待機することになった。

山口清次はソファに座ると、すぐにスタッフがお茶を持ってきた。

由佳は大きな窓に面したソファに座り、外に停まっている数機の飛行機が見える位置を選んだ。

彼女が振り返ると、山口清次は手に持った経済誌を真剣に読んでいた。

周囲の人は、雑誌や本を読んでいたり、スマートフォンで仕事などをしていた。

静かな雰囲気が広がっていた。

由佳のスマホが2回震えた。

山口清次はその動きに目を向けた。

彼の視線と合った由佳は、少し恥ずかしそうに微笑んで、スマホの音を消した。

吉村総峰からのメッセージだった。

「休暇に何か予定はあるの?」

「あるよ、今空港にいる」

「どこに行くの?」

「ニューヨーク」

「どのくらい滞在するの?」

「約一週間かな」

「いいなぁ、私たちは3日間の休暇しかなくて、その後は撮影が始まるのよ。それに、この3日間も休めなくて仕事があるの」

「それは大変だ」

二人は軽くおしゃべりを続けた。

吉村総峰が尋ねた。「彼氏との関係はどうなの?前回はもうすぐ別れるって言ってたよね?」

由佳は山口清次をひと目見て答えた。「まあ、まだ別れてないよ。もう少し様子を見てみるつもり」

その時、一人の影が山口清次に近づいてきた。「山口社長、お久しぶりですね。どちらへ行かれるんですか?」

由佳は顔を上げてその人物を見た。

スーツを着た中年の男性で、若い頃はかなりのイケメンだったことがわかる。

山口清次は雑誌を置いて、その人物と握手を交わした。「ニューヨークに行く予定です」

「それは奇遇ですね、私もニューヨークで用事があります」

そう言いながら、その人物は由佳に視線を向けた。「こちらが由佳さんですね?」

自分の名前が出てきた由佳は、軽くお辞儀をして「この方は?」と尋ねた。

中年の男性は由佳をじっと見つめた後、「加波直歩
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