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第197話

緑もとても良い。

由佳はこの豪華な別荘を見て、少し驚いていた。

山口清次は由佳が別荘をじっと見つめているのを見て、口元に微笑みを浮かべながら「気に入った?」と聞いた。

「とてもきれいだね。」と由佳は頷いた。

山口清次は「気に入ったなら、これから何度でも来て」と言った。

「うん……あれ?」と由佳は少し戸惑いながら答えた。

彼女の答えがあまりにも簡単だったので、山口清次は眉を上げて「どうしたの?来たくないの?」と尋ねた。

「そんなことはないけど……この家は、あなたが買ったの?」

「うん、よく出張で来るから、ホテルに泊まるのは不便で」

由佳は納得して頷き、「あなたが加波さんに会うために毎年来るときも、ここに泊まるの?」と尋ねた。

山口清次は一瞬固まった後、由佳の手を引き寄せて「私はここに泊まる。彼女が来たことはない」と答えた。

「そんなに急いで説明する必要があるの?」と由佳は笑った。

「……」

山口清次は言葉を詰まらせた。

由佳はその様子を見て、さらににこやかに笑った。「加波さんが来たら、あなたは彼女をここに入れないの?」

「……」と山口清次は沈黙し、「とにかく、まずは荷物を整理しよう」と話題を変えた。

由佳は彼の表情を見て、からかうように笑った。

以前は加波歩美と山口清次の話を聞くと、彼は悲しんでいたが、いつの間にか彼も加波歩美のことを冗談で言えようになった。

別荘には家政婦がいて、荷物の整理を手伝ってくれた。

由佳は別荘を一通り見て回り、降りてくると山口清次が反対側の一人掛けのソファに座って、リンゴの皮をむいているのが見えた。

リンゴの皮は端から端まで一続きになっていた。

山口清次はむいたリンゴを由佳に渡し、「食べてみて」と言った。

由佳はリンゴを受け取って一口食べ、「おいしい」と答えた。

「おいしいなら、もっと食べて。」と山口清次は言った。

「あなたが食べて。」と由佳はリンゴを彼の手に戻し、家政婦と一緒に荷物を片付けに行った。

ここでは掃除が行き届いており、寝室はとても清潔で、布団も干されていて、すぐにでも使える状態だった。由佳は荷物をクローゼットにしまった。

二人の持ち物は多くなく、あまり時間が経たないうちに、秘書たちが現地で買い物した日用品が届けられた。

整理が終わった後、家政婦が昼食を作った。

正直に言っ
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