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第198話

車はレストランの前で止まった。

典型的な西洋風のレストランで、壁には英字で店名が書かれている。

秘書に案内されて、由佳はレストランに入った。

店内は満席で、人気がありそうだ。

入ってすぐに、由佳は山口清次を見つけた。

彼はレストランの通路沿いの席に座っており、黒いシャツとスーツパンツを着て、スーツのジャケットは椅子の背もたれに掛けてあった。

リラックスして椅子に寄りかかり、脚を組んで優雅な姿勢を取っていた。

彼は入口に目を向け、由佳と視線が合った。

由佳はすぐに近づき、椅子を引いて彼の向かいに座った。

「来たね。午後は家で何をしていた?」

「午後はずっと寝てた」

「じゃあ今晩は眠くないだろう」山口清次の言葉の意味を理解した由佳は、彼に軽く睨みを送った。

ウェイターがメニューを持ってきて、それぞれに渡した。

山口清次は英語で数品の料理名を注文した。

彼の英語は典型的なイギリス英語で、低くて魅力的な声だった。

由佳は、学校の英語リスニングの練習のために彼のスピーチを何度も聞き返し、スクリプトを書き写して練習したことを思い出したが、どうしても満足できなかった。

料理が注文された後、ウェイターは去った。

由佳はテーブルに肘をつけて顎を支え、退屈そうにレストランの内装を眺めていた。

山口清次も彼女を見ていた。

彼女の顔立ちは精巧で美しく、白い肌が滑らかで、淡い笑みを浮かべ、冷ややかで美しい眉と目が静かな湖のようだった。

30分ほど経って、料理が次々と運ばれてきた。

最初に運ばれてきたのは、透明感のあるキャビアだった。

「特製のキャビアで、このレストランの名物だよ。試してみて?」

由佳は頷き、パンにキャビアをのせて食べた。

一粒一粒が口の中で潰れ、微妙な塩味と臭みが広がった。

「確かに美味しい」

最初はキャビアがあまり好きではなかった由佳も、回数を重ねるうちに味が良いと感じるようになった。

由佳は少しだけパンを食べた後、目の前にフィレミニョンのステーキが置かれた。

山口清次はいつものように、小さく切ってから由佳の前に出した。

メインディッシュの後は、いちごケーキとナポレオンケーキのデザートが運ばれてきた。

s由佳はすべて食べ終わった。

レストランを出た後、二人は近くを散歩した。

街には手をつないでいるカップルが多く
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