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第186話

翌朝早く、由佳が目を覚ましたとき、山口清次はすでに起きていた。

 彼は身支度を整え、食卓に座って彼女と一緒に朝食を取るのを待っていた。朝食後、二人は一緒に会社に向かった。

 オフィスのドアがノックされ、由佳はコンピューターから顔を上げて「どうぞ」と言った。

 「山口総監督」林特別補佐員がドアノブを押しながら外から入ってきた。

 「山口社長からこの書類をお届けするようにと言われました」

 「そこに置いていてください」由佳は目の前のデスクを指した。

 「はい」

林特別補佐員が出て行った後、由佳は下を向き、デスクの上のファイルを手に取って開いた。

 ファイルの中に入っていたのは、正式な書類ではなく、一枚の紙だった。

 その紙には山口清次の最近一週間のスケジュールが詳細に記載されていた。昼食や夕食の接待まで含め、事細かに書かれていた。

 以前も彼は彼女にスケジュールを報告していたが、ここまで詳細ではなかった。

 例えば、今日の昼も山口清次には食事会があった。

 その時、彼からメッセージが届いた。

 「昼は会社にいないけど、由佳ちゃんのために昼食を手配しておいたよ。食べ終わったら、僕の休憩室で少し休むといい」

 「分かった」

 昼休みになると、林特別補佐員が外食を届けてくれた。

 由佳は食事を終え、山口清次の休憩室に行って少し仮眠を取った。

 目が覚めたときには、午後の勤務開始時間が近づいていた。

 由佳は靴を履き、服を整え、部屋を出ようとしたとき、外のオフィスから話し声が聞こえてきた。

 「……他に何かあるか?」

 これは山口清次の声だった。

 彼は外から戻ってきたばかりのようだった。

 「もう一つは私的なことです」女性の声が響いた。

 それは大田彩夏の声だった。

 大田彩夏が言った。「山口社長、今日は私の誕生日なんです。同僚たちを誘って食事とカラオケに行こうと思っていて、山口社長も今夜のパーティーをキャンセルされたので、良ければ一緒にどうですか?」

 「いや、楽しんでね。」

 大田彩夏は山口清次の冷淡な表情を見つめながら、「山口社長、お願いです。今回は部門の集まりとして考えてください。社長が来てくださると、みんな喜ぶでしょう。聞いたところによると、少し前に他の部門と一緒に温泉リゾートに行かれたとか。公平にしてくださいよ」

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