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第115話

月初、彼が出張から戻ったその日、由佳はソファーで彼を待っていて、寝入ってしまった。

しかし、離婚を提案してから、そんなことは二度もなかった。彼が夜遅く帰宅しても、リビングはいつも真っ暗で、冷え冷えとしていた。

「ご主人様、お帰りなさいませ。」リビングの音を聞きつけた家政婦が出てきて確認した。

「うん。」

「お酒を召し上がりましたね。酔い覚ましのスープをお作りしましょうか?」

「お願いします。」

山口清次は水を一口飲み、ソファに座り込んで、背もたれに体を預け、目を閉じて疲れた様子で額を揉んだ。

しばらくしてから、家政婦が酔い覚ましのスープをリビングのテーブルに持ってきて、山口清次を起こした。「ご主人様、温かいうちにお召し上がりください。」

「うん。」山口清次は目を開けて軽く返事をしたが、動かなかった。

家政婦はスープを見て、再びキッチンへ向かった。しばらくしてから、新鮮な果物の盛り合わせを持ってきて、山口清次の前に置いた。「主人様、酔い覚ましのスープを飲みたくなければ、果物をどうぞ。」

果物の盛り合わせには、いくつかの解酒効果のある果物も含まれていた。

「お手数をかけてすまない。」

「手間ではありません。これらの果物は元々奥様のために用意したものですが、奥様は今日あまり食欲がないようで、夕食もほとんど食べずに二階に上がりました。果物も召し上がっていません。」

山口清次は一瞬だけ止まった。「彼女は食欲がないのか?」

「今日はあまり食欲がないようで、心配事があるように見えました。」家政婦は暗くほのめかした。

家政婦はその日、二人が正式に離婚しなかったことを知っていた。何か間に入ったのだろう。

しかし、事はどうであれ、この結婚に再びチャンスが訪れた。

家政婦は二人が以前のような和やかな関係に戻ることを心から望んでいた。

「分かった。」山口清次は頷き、少し果物を口にしてから二階へ上がって休んだ。

翌日、山口清次がランニングから帰ると、由佳は既にダイニングで朝食を取っていた。家政婦が朝食を用意していた。

山口清次は二階に上がってシャワーを浴び、着替えてから由佳の前に座った。

「おはよう。」

由佳は顔を伏せて食事をしながら、「おはよう。」と答えた。

食卓は静まり返り、二人はそれぞれ食事を続けた。

しばらくして、由佳は箸を置き、立ち上
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