第6話

私は疲れ果てたように苦笑した。

「達也、もう誰からも答えを求めたくない。ただ、お願いだから、みんな私の世界から消えてほしい」

「これが本気の気持ちだよ」

達也の唇は震え、彼の手も小刻みに震えていた。

「ごめん、俺が約束を破ったんだ。あの日、君が突然離婚したいと言ったとき、頭に血が上って同意したんだ。本当は、すぐに君が戻ってくると思っていた」

「俺は君の気持ちを全然考えなかった。美和、誓って言うよ。俺は佳奈子を妹としてしか見ていないんだ。彼女を好きになったことなんて一度もない！それに、裕太だって君に反抗してただけだ。反抗期だからそんなことを言ったけど、心の中では君のことを大事に思ってるんだ」

達也の言い訳を聞いているうちに、私は吐き気を覚えた。

疲れきって、彼を睨みながら冷たく言い放った。

「うるさい。聞きたくもない」

「ママ？」

そのとき、1台のマイバッハが停まり、2人が降りてきた。

裕太は佳奈子に手を引かれてやって来た。

私はこのバス停が裕太の学校の近くにあることを、今になって思い出した。

裕太は唇をかみしめて、言った。

「ママ、この前は僕が悪かった。あんなこと言って怒らせちゃって、ごめんね」

佳奈子は気まずそうに微笑んだ。

「お姉ちゃん、戻ってきたんだね。さっき裕太を迎えに行く途中で、遠くから君と達也が見えて、まさかと思ったけど」

彼女は裕太の手を握りしめ、離そうとしなかった。

裕太は痛がって、彼女の手を振り払った。

「佳奈子おばさん、痛いよ」

裕太は私のそばに駆け寄り、抱きついてきた。

佳奈子は顔をしかめ、何も言わなかったが、その表情は見逃さなかった。

「ママ、僕はわがままだった。この間、ずっとママに会いたかったんだ」

「裕太、もうわかっているでしょ？私はもうあなたの母親じゃないの。君が電話で『もうママなんていらない』って言ったとき、私はそれを真に受けたの。だから今、君から離れている。それで君は喜ぶべきなんじゃない？」

裕太は呆然として、涙が目に溜まっていた。

達也も裕太の手を引きながら聞いた。

「裕太、お前、ママに電話で何を言ったんだ？」

「僕、あの時はただ、ママに構われたくなくて言ったんだ！今になって、ママがいてくれることがどんなに幸せなことか分かったんだ......」

裕太は大声で泣き始め、佳奈子は